ラグビーの季節がやってきた。
約半年ぶりの公式戦。そして、3年生にとっては最後の戦い。花園への切符を目指し、青春をかけて戦う選手たちをレポートする。
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試合概要
【対戦カード】
合同C*v埼玉県立川口北高等学校(以下、川口北)
*合同Cは、本庄第一高校、熊谷農業高校、ふじみ野高校、朝霞西高校、日高高校、深谷商業高校、秀明栄光高校の計7校からなる合同チーム
*当初予定していた桶川西高校は出場せず
【日時】
2020年9月27日(日)10:00キックオフ
【場所】
川口北グラウンド
試合結果
合同C 0 – 69 川口北
試合展開
前日まで降り続いた雨の影響で、土のグラウンドはぬかるんだまま。決して好コンディションとはいえない中始まった花園予選1回戦は、キックオフからハンドリングエラーが続く。
ファーストスクラム、押し込んだのはなんと合同C。ベンチから歓声が上がる。
しかしサプライズはこれで終わりではなかった。
前半28分までに組んだスクラムは全て川口北ボール。そのほとんどを、合同Cは押し込み奪い取った。
合同Cの監督を務めた嶋田翔太先生(熊谷農業高校)は「合同チームとして活動できたのは8月から。全体練習は10回未満」というが、限られた時間の中で勝つスクラムを作り上げてきた。「目指せ一勝、です。まずは基本をにしっかりプレーしたい。」
均衡が破れたのは前半6分。川口北のSO黒田選手が、ボール受け縦に突いてトライ。自身でコンバージョンゴールも決め、7点を先制する。その後、10分・15分・19分・22分・30分と立て続けにトライしたのは川口北。前半は上手くスクラムを組めなかったが、その分得意の展開ラグビーでトライを取り切った。
黒田選手、前半だけで3つのトライに絡む大活躍。縦へ当たる判断、ボールを放るタイミング。非常に活き活きとプレーする姿が目立った。
コンディションの都合で前半で退いたSOに代わり、後半プレイスキックを担当したのは、FB堀越選手。なんと彼はラグビー歴1年にも満たない。
昨年のラグビーワールドカップ2019に感銘を受け、2年生の10月にラグビー部の門を叩いたのだ。それまでは中学でバスケ部、高校入学時にはバドミントン部に所属したが、途中で退部し1年ほど部活動には所属していなかった。
「堀越のように、ワールドカップを観て途中から入部してくれた選手が他に3人います」と話すのは川口北高校監督の平賀誠司先生。
堀越選手がゴールポスト正面でコンバージョンキックを蹴る際には「もっと前に行っていいんだよ」と声を掛ける。
試合勘を得るにも、1年のうち半分は新型コロナの影響があった。練習もままならなかった。
それでも、選手たちは工夫して自主練習を重ねた。監督は、新入生にラグビー部のことを知ってもらおうとブログを書き続けた。
各々ができることをする。そして、グラウンドでは最大限の成果を発揮する。
川口北高校のチームスローガンは『責任と信頼』。
今日の11トライは、互いを信頼し、個々が責任を果たした結果だ。
***
後半、足が止まってきた合同Cフィフティーンに声を掛けたのは、木村悠空キャプテン(7番、本庄第一高)。「あげてこうぜ!」「1stタックル止めるぞ!」全7校からなる合同チームをまとめるのは、容易ではない。だがラグビーができることが嬉しい。
試合終了後、合同Cに参加する深谷商業の中原雅史監督が生徒たちに声を掛ける。「試合を経験できて良かったな。でももうちょっとやりたかったな。」
合同チームは、参加校の数だけ想いがある。
試合後コメント(川口北高校)
川口北高校 平賀監督
「練習でやってきたことをやりきれたことが大きな収穫。(次回の西武台戦に向け)1戦必勝です。」
菅原友宏キャプテン(3年生、13番)
「練習試合ではなかなかトライを取れなかったので、初戦にトライを量産できて安心した。スクラムやハンドリングは次戦に向け改善する。個人的MVPは、7番の山口選手。ゲインを切ったり、シェイプをあてたりしてゲームを作ってくれた。」
黒田選手(3年生、10番)
「浦和高校でラグビーをしていた兄に憧れ入部した。中学まではサッカーをしていたが、戦術が変わるだけで全く違うゲームになる、良い試合が組み立てられるところがラグビーの魅力。ラグビー、めっちゃ楽しいです。」
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