後半
後半開始から、早稲田は第一列を総入替え。フレッシュレッグで更なる得点を狙う。
後半4分、ラインアウトモールでアドバンテージを獲得すると、交代早々の17番・横山太一選手が抜け出しトライ。
後半12分、再三再四のラインアウトモールから9番ー10番と繋ぎ、ゴールポスト中央へのキックパスに反応した12番・平井亮佑選手がトライ。
止まらない早稲田の攻撃。
後半25分、9番に代わって入った21番・河村謙尚選手の華麗なグラバーキックに反応したのは、4年生で11番の古賀選手。
実はこの試合、古賀選手特有のパッと明るくなったような雰囲気が影を潜めていた。トライした後だって、昨年までの彼の代名詞のような満面の笑みではなく、なんだか重荷を背負ったような笑顔。その姿はまるで、現・パナソニック ワイルドナイツの竹山晃暉選手が帝京大学4年生だった頃のような雰囲気を醸し出していた。
今日はまだ、五分咲きの笑顔。対抗戦、そして大学選手権が終わる頃には、満開の笑顔が見られますように。
おそらく今シーズンから変わったであろうマウスピースには、座右の銘がしたためられている。
「乾坤一擲」
最終学年。運を天にまかせて、のるかそるかの大勝負を、しよう。
試合終わってみれば、早稲田の圧勝。
全てのコンバージョンキックを成功させ、幾多ものトライに繋がるキックパスをみせたのはスタンドオフの吉村選手。試合中FWに何度も声を掛けに行くなど、なんともたくましい司令塔に成長していた。
この試合先発した小西・吉村のハーフバック団は、昨年度まで4年に渡って続いた齋藤・岸岡コンビの後任を任された選手たちだ。否が応でも比較されてしまいがちだが、自分たちは自分たちらしく、自分たちの信じるハーフ団を築き上げていってほしい。そう願わずには、いられない。
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日体サイドに待望のトライが生まれたのは、後半32分過ぎ。相手陣インゴール前、外国人選手を中心にボールを集めフェーズを重ねると、最後押し込んだのはNO.8ハラトア・ヴァイレア選手。ベンチからも観客席からも、歓声が沸いた。
コンバージョンキックを担当したのは、なんとトライを決めた8番・ヴァイレア選手。残念ながらゴールポストを外れてしまったが、最後の最後まで観客席を沸かせてくれた。
試合後の記者会見で見られたのは、日体の誠実な姿だった。
試合に関わる人たちへの感謝の言葉から始まった監督の挨拶に、キャプテンの両手をグーにして膝に置き、凛と前を向く姿勢。そして9番・本堂選手含めた3人の明瞭な受け答え。
体育大学らしく、最上級生は教育実習で練習の合流時期が遅れた。しかし自分たちの立ち位置を理解し、決して言い訳をすることなくラグビーに向き合う。バイウィークを挟んでの中盤戦、巻き返しに期待だ。