光る、3人のルーキー ー帝京v明治【関東大学対抗戦Aグループ 第6週】

試合展開

帝京:赤ジャージ、明治:紺白ジャージ

先週末の日本体育大学戦が不戦勝となった明治にとって、2週間振りの公式戦。田中監督が「先週末は試合よりもキツい練習をしましたよ」と話せば、「今週の水曜日まで体がバキバキでした」と返した箸本キャプテン。その成果は、いかに。

 

この試合最初に得点を決めたのは、帝京大学8番の奥井章仁選手。名門・大阪桐蔭高校でキャプテンを務めたルーキーだ。ゴール前での推進力はピカイチで、何人に囲まれようが関係ない。ただただ前に突き進み、ボールを地面につける。明治相手にもフィジカルで負けない奥井選手が、ノーホイッスルトライを奪った。


明治の同じくルーキー廣瀬選手とマッチアップする、帝京8番・奥井選手(写真中央)

 

帝京の先発メンバーに名前を連ねたルーキーは、もう一人。同じく大阪桐蔭出身でフッカーの江良颯選手だ。スクラムの要として重要なポジションを担う江良選手は、スクラムを組む前に一度振り返って仲間の表情を確認する。帝京大学の2番を背負う重圧を、パワーに変える。


スクラムを組む、帝京・江良選手(写真中央)

対する明治フィフティーンで唯一先発を任されたルーキーは、東福岡高校でキャプテンを務めた廣瀬雄也選手(明治12番)。試合序盤には飛ばしパスを帝京・尾﨑選手にカットされ、そのまま70mの独走トライを許してしまう場面もあった。が、諦めずに再びロングパスにチャレンジすると、それをきっかけにトライが生まれた。

トライ&エラー。トライ&成長。田中監督も「初先発ですが、遜色なくのびのびやっていましたね」と評した紫紺のセンターは前半38分、ラインアウトから13番・児玉樹選手を経由したボールでトライを奪う。


セットプレーでFWが良いプレーをすると、ポンポンと頭を叩きに行く廣瀬選手。きっと、こういう姿に心を奪われるラグビーファンも多いはずだ。(写真左)

 

前半はスクラムで劣勢だった明治、後半頭からフッカーを三好優作選手に変える。「スクラムをしっかりと押しに行き、主導権を握ろうという意図だった」と語った田中監督。その交代が見事的中、後半は一転してスクラムで優勢に立った。

箸本キャプテンは言う。「フロントローが自信を持って組んでいたことが、スクラムの最後尾から見ても分かった。」

武器であるスクラムも、新型コロナの影響でなかなか組むことができなかった春。スクラムについて考える時間を自分たちで作り上げようと、食事前後の隙間時間にプロップやフッカーの選手たちが集まって話し合うようになったという。

 

声を出しての応援ができない今年。敵陣深くに入ると、自然と明治ファンから巻き起こったのは手拍子だった。選手の背中を押すように、勝利を手繰り寄せるかのように。

一時16点ものリードを許したものの、後半は1得点もさせず逆に16点差で勝利を収めた明治。2年連続の対抗戦優勝に向け、来月6日、最終戦・早稲田へと立ち向かう。

MOMを獲得した飯沼蓮選手(9番)のトライに駆け寄る、MOM級の活躍を見せた11番・石田吉平選手

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