オールブラックスのボーデン・バレット(Beauden Barrett)選手が、サントリーサンゴリアスに加入するーーー
この一報は、多くのラグビーファンに衝撃を与えた。
現役、しかも2023年ワールドカップでもオールブラックス入りを目指す人気・実力ともにトップの選手が、トップリーグに加わるとは。果たして一体何が、彼を日本に向かわせたのか。
1月6日、都内ホテルで行われた入団会見で語られたのは、日本でプレーすることになった経緯とトップリーグ開幕を待ちわびるファンへのメッセージだった。
フォトセッションでは、自ら様々なポーズを提供してくれた
日本でプレーすることを選んだ
まずなにより日本に来れてとても嬉しいです。私の家族も、既に日本にフィットしています。
来週末にはトップリーグが開幕しますが、非常に楽しみでなりません。プレシーズンマッチをいくつか戦いましたが、サントリーのアグレッシブなアタッキングラグビーが自分に合っていると感じます。と同時に、日本の選手たちのスキルレベルの高さに驚いています。自分自身も成長できるよう、スキルを磨いていきたいと思います。
ファンの皆様、いつも応援ありがとうございます。みなさまの応援が力になっています。開幕戦で皆さんに会えることを楽しみにしています。
ーー日本でプレーすることになった経緯を教えてください
1年と少し前に遡りますが、ニュージーランド協会と新たな4年契約を結ぶ際、2021年のサバティカル(*1)を許してもらいました。
実はフランスからも話があったのですが、これまでの来日経験から日本の印象がとても良く、日本に行くことを決断した次第です。2023年のフランスワールドカップを目指しているので、逆算して決めました。
オールブラックス入りを目指す場合、
①ニュージーランド協会と契約を交わすこと
②ニュージーランド国内のチームでプレーすること
の2点が必要になる。ただし『サバティカル』、日本語でいう長期休暇のような制度を協会に認めてもらえると、ニュージーランド以外の国で短期間プレーすることが許される。現在多くのオールブラックスの選手たちが来日しているのは、その制度を利用したものが多い。
(土田シニアディレクター)僕からも少し補足させてください。これまで過去6回、日本に来日しているのですが、そこでのおもてなしに感銘を受けたとのことです。特に2019年のワールドカップでは日本に40日以上滞在して、人間性はもちろん、おもてなしを好きになったと。
オファーした金額はフランスの方が高かったのでは、と思っています。ですが日本でのこれまでの体験とTLでもラグビーの質が落ちない、という判断から、サンゴリアスを選んでもらいました。
一つ一つの質問に誠実に答える姿が印象的
ーー日本ラグビーの印象は?
世界の中でも日本は良い位置にいると思います。スキルレベルの高さについては聞いていましたが、インテンシティが高いですね。若手もどんどん成長している、楽しみなチームです。
ーー来季以降、日本でプレーすることはあるか
いつかは分からないけどまた日本には戻ってきたいという気持ちを持っています。いつも様々なオプションがありますからね。
まずは目の前のTL優勝と2023年のワールドカップ出場が目標。この1年間チームメイトと良い友情関係を築き、家族と楽しみながら、選手として成長したいと思います。
ーー印象に残っている日本の選手はいますか
たくさんいますが、フィジカルやスキルセットの面でサントリーのキャプテン・中村亮土選手は素晴らしいですね。若手でいうと、ルーキーの齋藤直人選手や中野将伍選手にはポテンシャルを感じます。将来が楽しみです。
アグレッシブな予測できないプレーを
ーーどんなプレーを日本のファンには見て欲しいでしょうか
予測できないようなプレーを見せたいですね。キック、ラン、パスなど数あるオプションの中から自分がどういうプレーを選択するか、ぜひ見てください。
ーーコロナ禍、どういう準備が必要になるか
予期せぬことが起こる中で、どううまく自分が準備できるかが大事だと思います。万が一ネガティブなことが起こっても、責任を持って対応していきたいと思います。
ーーサントリーのプレースタイルは、どれくらいマッチしているか
先週末パナソニック ワイルドナイツと練習試合をしましたが、ディフェンスラインのスピードが速く前に出れない局面が続きました。そんな時にはキックを適宜使う、アグレッシブにアタックする、という点でとても自分には合っていると感じました。
シーズン中も、厳しい試合になればなるほどキックを使わなければならないシーンは出てくると思います。
スタンドオフらしい、シュッと引き締まった脚も美しい
ーースタンドオフ、フルバックとして心掛けていることを教えてください
2年程FBでプレーしています。楽しいですが、一番はスタンドオフとしてプレーしたいですね。
ーースクラムハーフとのコミュニケーションは取れているか
3人の良い日本人スクラムハーフ、ハリケーンズで一緒にプレーしていたリチャード・ジャッド選手がいますが、みんなと良いコミュニケーションが取れています。
9番はもちろんのこと、センターやウイングからのコミュニケーションをしっかりしてもらうことが、自分のディシジョンメイクに繋がります。だからコミュニケーションはとても大事。外から’(ウイングやセンターが)呼ぶ所では言葉の壁もあるので、プレッシャー掛かった状態でどう判断していけるか。これから努力していきます。
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