天理の物語
優勝キャプテンインタビューでの第一声、「ありがとうございます!めっちゃくちゃ、嬉しいです!」と会場中に明るい声を響かせた松岡大和キャプテン。
「登録メンバー23人だけでなく、メンバー外のみんなが協力して今日まで準備してこれた。今日の優勝は、天理部員全員とこの4年間サポートしてくれた皆さん、先輩方が培ってきたものを全員で良い準備をした結果」と涙を見せた。
挨拶を終え、フィフィタ選手に迎えられる松岡キャプテン
素晴らしい出足だった。前半3分と10分、立て続けにトライを奪い、早稲田の出鼻を挫く。
「2つや3つのミスはある。3つや4つ、トライは取られる。だから15人全員でカバーしてやっていこう、と試合中は声を掛け続けました。全員が勝つマインド持っていたからこそ、良い入りに繋がったのだと思う。」
8月、新型コロナのクラスターが発生し、活動できない日々が続いた。少なからず、誹謗中傷も受けた。それでも天理市をはじめ関係各所のサポートを受け、どこの大学よりもシーズンを長く戦い抜くことができた。
「今年は試合経験が少なく、シーズン序盤は苦しみました。ですがやってみないとわからない、何かあったら試合中に修正しよう、というマインドで戦ったのが良かったかな。準決勝の明治戦からは、準々決勝で戦った流通経済大さんのフラットに走り込むアタックを取り入れてみました。今年の学生たちは、崩れない強さ・修正力がありました。」と目を細めたのは小松監督。
サンウルブズで大きく飛躍し天理に帰ってきたSoon to be Brave Blossoms(日本代表入り間近)な13番・シオサイア・フィフィタ選手は言う。「昨日の夜、2年前の(決勝で明治に負けた)試合を思い返していた。ラグビーは15人で戦うもの。自分で持ちすぎず、仲間にパスを出そう、と。」
その言葉通り、敵陣深い位置でフェーズを重ねると、フィフィタ選手で相手を集め、その横に走り込んできた味方に何度もオフロードパスを放った。そのまま味方選手が縦に走り込み、同じ形で2度、トライを奪う。
「サンウルブズで経験を積んだことで、自分自身が行くのではなく、パスをして周りを使うことが凄く出来るようになった。」と松岡キャプテンも成長を喜ぶ。
オフロード、ワンハンド、溜めてから、素早いテンポなどパスの使い分けが圧巻だったフィフィタ選手