「ラグビーができて幸せでした」天理v早稲田【第57回全国大学ラグビーフットボール選手権大会決勝】

早稲田の物語

苦しい80分だった。

ノーサイドの笛が鳴った瞬間、グラウンドに突っ伏し号泣したのは15番の河瀬諒介選手。「悔しいという言葉で収めていいのか、というくらい『やってしまったな』と思って。頭が真っ白になった。」

そう、やってしまった、のだ。相良監督は言う。「天理さんのブレイクダウンの強度、圧力が想定していた以上に素晴らしかった。今日くらいのプレッシャーを我々が掛けられれば、天理さんのボール出しを遅らせられると思っていたんですけど。想定以上でした。今シーズンは中々対外試合が組めなかったので、我々コーチ陣の引き出しがなかった。選手に申し訳ない。」


表彰式が終わっても涙が止まらなかった河瀬選手

アタックしていても後ろに下げられた前半。「最初の入りを大事にしていた分、天理大学さんの方が(アタック・ディフェンス共に)上回っていて後手後手に回った結果、連続で失点してしまった」と話したのは、スタンドオフの吉村紘選手(2年生)。昨年はリザーブからセンターを、今年は10番を担った。

キックオフから何度か河瀬選手がカウンターアタックを狙うも、なかなか理想とする攻撃を仕掛けることができない。「天理のロングキックに対し、カウンターで仕掛けようというのがゲームプランだった。だけど天理のチェイスラインやディフェンスが想像以上で。僕の所で判断に時間を使い過ぎてしまって、外側の選手の時間を奪ってしまった。」と振り返る。


小西泰聖選手と吉村選手の20歳ハーフ団コンビにとって、苦い成人の日となった

点差が開いてくると、否が応でも焦ってしまう。後半に入ると、クイックスタートから丸尾キャプテンらが体を当てに行くシーンが目立った。しかし単独でのクイックアタックは、サポートの遅れというリスクもついてくる。ペナルティを取られ、結果的に相手にボールを渡してしまったシーンも少なくない。

それでも後半は3トライ。前年度王者として、意地の3トライ。トライに繋がらずとも、古賀→伊藤大祐選手(22番)と繋いだ見事なゲインには、ベンチに控えていた23番・南徹哉選手(4年生)から「ヨシ、ナイス!」の言葉が飛んだ。


後半27分。小林選手がピッチ中央で約30m走り抜けると、サポートに来ていた21番・河村選手に繋いでトライ

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