11月22日に幕を開けたOTOWA カップ 第31回 関東女子ラグビーフットボール大会 Supported by アミノバイタル。
2か月半に及ぶ激闘を経て、2月7日(日)に行われた決勝及び3位決定戦の模様をお届けする。
決勝戦
試合概要
【対戦カード】
Morning Bears *1 対 YOKOHAMA TKM 山九フェニックス *2
*1:ARUKAS QUEEN KUMAGAYA 、自衛隊体育学校(PTS)の合同チーム
*2:YOKOHAMA TKM、東京山九フェニックスの合同チーム。以下、TKMフェニックス
【日時】
2021年2月7日(日)14:00キックオフ
試合結果
Morning Bears 25 – 20 YOKOHAMA TKM 山九フェニックス
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80分の物語 ~Morning Bears
Morning Bears:緑ジャージ、TKMフェニックス:黄ジャージ
「合同チームだけど、合同チームじゃないような。一つのチームにまとまってきた。」
優勝を飾ったMorning Bearsの14番で、決勝戦のMIPに選ばれた谷口令子選手は試合後にこう話した。
14番・谷口選手がトライを決めた直後、駆け付けるMorning Bearsの選手たち
バックスの躍動、とりわけバックスリーとよばれる11・14・15番が目覚ましい活躍をみせたこの試合。
両ウイングはARUKAS QUEEN KUMAGAYA 、フルバックは自衛隊体育学校(PTS)の選手だった。
15番・平山愛選手がキックを活用しながら攻撃の糸口を探ると、フィニッシュの絵が描けた瞬間に一気に展開しトライを取り切る。チャンスを逃さず一発で取り切るバックス陣の連携は、圧巻だった。
「合同チームということで、限られた時間の中で最大限にコミュニケーションを取りながら練習をしてきた。オフザフィールドの部分で積極的にコミュニケーションを取り続けることが最初は難しかったが、選手のみんなも状況を理解して積極的にコミュニケーションを取り続けてくれたことが、チーム力が上がった要因」と、公家明日香キャプテンは分析する。
ピンチの局面、FWが耐えペナルティを奪うと「FWナーイス!」と声を掛けた15番・平山選手。最後尾からチームを盛り上げ続けた
采配も光った。
前半22分という早い段階で、スタンドオフを交代したMorning Bears。
武田達也監督はこの交代劇について「ボールを動かしてどれだけ自分たちのアタックができるか確認した」と話す。
キックを上手く使って攻撃を組み立てていきたかったが、相手にだいぶ研究されていた。そこでスタンドオフを交代し、テンポを変えることに。すると、攻撃のリズムがかみ合い出しファーストトライが生まれる。
前半は緩急をつけながら多くの時間を敵陣でプレーしたMorning Bears。自陣22mに入り込まれた回数は、数えるほどだった。
しかし後半は一転して、ペナルティが重なりインゴール前に張り付かされる時間が増える。一時は17点差をつけたものの、TKMフェニックスの怒涛の攻撃を受け規律面の課題が露呈した。
公家キャプテンは言う。「全国大会に向け、よりチームが一つにまとまるようコミュニケーションをとって互いの理解を深め続けていきたいと思います。」
狙うは第7回全国女子ラグビーフットボール選手権大会での全国制覇。
Morning Bearsは2月21日、関西の強豪MIE WOMEN’S RUGBY FOOTBALL CLUB PEARLSと、日本一を懸けて対戦する。
武田監督「ラグビー選手がラグビーをできる、活躍する場を与えてもらう大切さを選手たちは実感することが出来たと思う。Morning Bearsの選手だけでなく、女子ラグビー選手にとって大きな意味がある大会になった。この先に繋がっていくと信じて、これからもラグビーにしっかり取り組んでいきます。」
80分の物語 ~TKMフェニックス
昨年11月末、日本代表のゲームが行われた時のこと。
試合後の記者会見での鈴木実沙紀選手の姿に、驚いたことを思い出した。
サクラフィフティーンはあの時「BIG」をテーマに掲げていた。
BIGとは、Back in Gameのこと。倒れた選手もいち早く戦列に戻る、15人全員がオプションになる、ということを指している。
そのBIGについて、ある選手は「Back in Game」と言葉の説明をした。
一方鈴木選手は、BIGの「考え方」について説明をした。
この、差。
何をどう考えてプレーしているのか、なるべく分かり易く伝わりやすい言葉に瞬時に変換することができる才。
彼女のクレバーさに、衝撃を受けたことを覚えている。
スクラム前、一度落ち着いて周りを見渡すTKMフェニックスの鈴木選手
そんな「言葉にできる選手」だからこそ、彼女の存在感は自然と目立つ。
特に後半、チームに「もう負けるかもしれない」という雰囲気が漂ってからのリーダーシップは別格だった。
後半最初のトライをMorning Bearsの20番・今釘選手に取られた時には、「ゼッタイ1対1の所で負けんなよ」と”ゼッタイ”に思いっきり力を込め仲間を鼓舞する。
後半30分、同じくMorning Bearsの14番・谷口選手に右サイドを駆け抜けられトライを許すと、明るい声で「集まろ集まろ!まだ大丈夫じゃん!」と前を向かせる言葉を掛けた。
コンバージョンゴールが外れると「おっしゃ、まだいけるよー!」と叫んでピッチに駆け出す。「次絶対守るよ、あと10分やりきろう!」
その言葉通り、TKM フェニックスはラスト10分、やりきった。最後の10分で、2トライ。彼女の声掛けから生まれた、2トライだった。
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