ファンの前でラグビーができる嬉しさ|パナソニックvリコー<TL2021> 

80分の物語

パナソニック:青ジャージ、リコー:黒ジャージ

His story ~パナソニック ワイルドナイツ

試合後、ロビー・ディーンズ監督は言った。

「選手の表情を見て頂いたら分かったと思いますが、みんなファンの前でラグビーができることを楽しんでいました。」

ファンだって。

約1年ぶりにこの目で見る選手たちの姿に、笑みが溢れていた。

これまでトップリーグのHISTORYを築いてきた選手たちが数多く在籍する、パナソニック ワイルドナイツ。

フランカーの布巻峻介選手(7番)は、得意のブレイクダウンで強みを発揮。タッチライン際でも巧みなハンドリングスキルを見せ、トライを奪った。

ファンだけでなく、様々なメディアの注目の的となっているのは福岡堅樹選手。

後半23分、タイミングをあわせ得意のインターセプトを決めると、そのまま30m強を独走しゴール中央でトライを奪った。

これぞ、『ザ・福岡堅樹』というプレーに、会場中が沸く。


4月から順天堂大学医学部に進学することを発表した福岡選手は、これが正真正銘のラストシーズン

一方で、これから「His story」を築いていく選手たちの活躍も目立ったこの試合。

代表格は、松田力也選手(26歳)だ。

2019年のワールドカップで日本代表に選ばれていたが、スターティングメンバーに名を連ねることはなかった。2023年こそは主軸で、と闘志を燃やす。

今日はスタンドオフのポジションで先発を務め、またプレイスキッカーの役割も担う重要な役回り。

試合開始直前から突風が舞いはじめ、前半は風下でプレーすることになったが「上手くコントロールできた」と語る。

「試合序盤は全員の繋がりがなく、個人の判断でパスしてしまっていた。みんなで同じ絵を見てアタックしよう、と言い続けることで、後半から噛み合わせることができた」と修正力に自信をのぞかせた。


すべてのプレイスキックを成功させた松田選手。例年よりもはるかに長いプレシーズンも「選手一人ひとりのキャラクターを再確認できた、メリットしかなかった」とポジティブに捉える

トップリーグ3年目を迎える福井翔大選手(21歳)は、熾烈なバックロー(6~8番)争いを制してリザーブメンバー入り。後半12分から登場した。

そのわずか3分後。モールを押し込むと、最後尾でボールを抱えていた福井選手がグラウンディング。秩父宮ラグビー場の大型ビジョンは、福井選手が嬉しそうに起き上がる表情を捉えた。

そのまた3分後には、自陣の危険なエリアで見事なジャッカルを決める。主戦場となるブレイクダウンでの成長も、一目瞭然だった。

年代別日本代表でキャプテンを務めてきた、逸材。

パナソニックには、キャプテンシーのお手本を見せてくれる人も、プレーを盗むべき人も、たくさんいる。


トライ後、満面の笑みで祝福を受ける福井選手

もう一人の若人、ベン・ガンター選手。チームメイトから「冷蔵庫が突進してくるみたい」と例えられるほどの迫力を有する選手は、齢23にしてキャプテンシーの塊だ。

2019年のトップリーグカップ戦でキャプテンを務めた彼は、グラウンドで抜群の存在感を放つ。

片手にボールを携え力強い突進を見せたかと思えば、ディフェンスではフランカーらしいハードワークでブレイクダウンに顔を出し続けた。

そして、良いプレーをした選手にはすかさず寄って行き、肩を合わせる。兼ね備えるスキルとハートに、日本代表入りが待ち望まれる。

日本ラグビー界の中枢を今現在担う選手たちと、成長著しい選手たちとが群雄割拠の様相を呈すパナソニック ワイルドナイツ。

全てが上手く噛み合った時、5シーズン振り5度目の優勝がみえてくるのではないかーーー。開幕戦にしてそんな期待をしてしまうほど、完璧な試合運びだった。


通常、開幕戦はボールが散らかることも多いが、今日は選手たちがしっかりと適応してくれた。80分を23人で戦うことが大切。今日は山沢拓也選手の体調が万全ではなかったため投入しなかったが、来週以降も選手全員で戦うことを大事にしていきたい。(ロビー・ディーンズ監督)

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