試合内容
キックオフ15分程前から、グラウンドでのアップを始めた両校。
良く晴れた、けれど少し風がたなびく熊谷らしい空模様。
静寂に包まれた会場で、11時ちょうど、キックオフの笛が鳴る。
試合前、円陣を組む桐蔭学園
東福岡の面々は口々に言った。勝因は「FWのフィジカル、接点」だと。
「とにかく接点。フィジカルバトルでやっていこう、引くな、と選手たちには伝えました。そこが勝てばラグビーは勝てるので」と話すのは、藤田雄一郎監督。
まさに言葉通りの出足を、東福岡が見せる。
開始数十秒でのファーストスクラムは、東福岡が1.5m目一杯押す。
相手ボールのブレイクダウンも一気に捲り上げターンオーバーに成功すると、瞬時に敵陣へ攻め立てる。
試合最序盤で、東福岡は接点における優劣を明確にした。
スコアが動いたのは、前半2分。敵陣22m付近でラインアウトのチャンスを得た東福岡は、クリーンキャッチするとすぐさま展開。いったん逆サイドまで振り切った後に内に戻し、ポール正面でラックを重ねると最後はこの日先発に復帰したキャプテン・八尋祥吾選手(6番)が押し込んだ。
7-0、欲しかった先制トライを手にする。
2トライ目も東福岡。ブレイクダウンで圧を掛けボールを奪い取れば、1本目と同じような展開から1番・西野帆平選手がトライを決める。
そして圧巻は、直後の3本目だった。
「まだまだセーフティじゃないよ!」の声とともに蹴り込まれたリスタートキックオフ。
左サイドでオーバーされそうになりながらもラックをキープすると、右サイドに展開した先で7番・茨木颯選手がボールを手にする。するとそのままステップで相手を交わし、自陣22m付近から40m走った先でパスを放れば、11番の快速ウイング・遠藤亮真選手がトライを決めた。
前半11分、ノーホイッスルトライで点差を19点に広げる。
前半、東福岡が奪ったトライは全部で5本。
FWで圧倒しバックスに繋いでトライを取り切る、ヒガシのラグビーが展開された。
「一つのブレイクダウン、一つのキャリー、一つのタックルに覚悟を持っていこう」と試合前話したのは、バックスリーダーの楢本選手(10番)。
「責任をもったブレイクダウンで、責任を持って球を出す。覚悟を持ってブレイクダウンに臨めたと思います」と手応え掴む。
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一方の桐蔭学園は、前半僅か1トライ。
準々決勝の天理戦で見せたような、流れるパスワークが繋がらない。準決勝の大阪桐蔭戦で見せたような、勝負所の引き締まったブレイクダウンも、この日は影を潜めた。
「東福岡さんは、一人ひとりのブレイクダウンが低くて強くて激しかった。自分たちもサポートしよう、顔をあげよう、低く一人ひとり立っていよう、と意識していましたが、ヒガシさんの圧力に負けてしまいました。一回負けると、どこかで気持ちが折れてしまって。そこで圧倒されてしまったように思います。(小椋ゲームキャプテン)」
東福岡が4トライ差・24点のリードで、前半を折り返す。