80分の物語
HISTORY of SUNTORY Sungoliath
「前半と後半で違うゲームになった」と語った、ミルトン・ヘイグ監督。
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前半は、面白いようにボールが繋がった。
試合のファーストトライこそ相手に許したものの、敵陣でペナルティを得ればボーデン・バレット選手の右足で3点を重ね、着実にスコアを伸ばす。
サントリー待望のトライは、前半25分。敵陣深い位置でラインアウトのチャンスを獲得すると、クリーンキャッチしすぐさま展開。バレット選手が左前方にキックパスを蹴り上げれば、コンテストに行った選手のショートサイドに走り込んだ15番・尾崎晟也選手がボールを拾い上げ、トライを決めた。
これぞサントリー、なアタッキングスタイルでリードを奪う。
今季初めてセンターポジションでの出場となった中野将伍選手。前半29分には中野選手らしいラインブレイクを見せた。「彼が自然にプレーできるポジションはセンター。フィジカルにダイレクトにプレーする意味では、中村主将とのコンビネーションも良い(ヘイグ監督談)」
16点リードで迎えた後半は、前半に増してキックを多用するように。
9番・流大選手のスペースを狙ったボックスキックに、バレット選手のキックパス。もちろん蹴るからには、チェイスする人材も必要だ。
それはフィールドにいる誰にでも求められ、フロントローと言えども決して例外ではない。
後半20分過ぎ。フィールドに入ったばかりの18番・垣永真之介選手(右プロップ)が、ロングキックからのトライを目指し全力疾走を見せるシーンには、会場が沸いた。
しかし、後半30分。クボタ6番・トゥパフィナウ選手がこの日3本目となるトライを決めると、26-26の同点に追いつかれる。
すると会場につめかけた8,747人の観客は、一気にクボタを応援する雰囲気に傾いた。
中村主将は言う。「観客もノリノリで、アウェーな状況になった。サントリーを倒すぞ、という会場の雰囲気に飲まれないように、と選手たちには声を掛けました。」
最後の10分+ロスタイムで勝ち切ることにフォーカスした、と付け加える。
同点に追いつかれてから8分後。
サントリーは敵陣22m付近でマイボールラインアウトのチャンスを獲得すると、数度ポイントを作りディフェンスの人数を集めてから外に展開。最後は田村煕選手のスキルフルなパスがバレット選手に通り、試合を決定づけるトライを決めた。
TL1シーズン目の両選手。大事な時間帯に、チームの核を担う
試合後「会場中がクボタの勝利を願う雰囲気があった中で勝ち切れたことは良かった」と話した中村主将。ヘイグ監督も「Never Give Upの精神を体現し、ボールを動かして諦めずに最後スコア出来た」と選手を讃えた。
次節は最終節・NTTコム戦。
レッドカンファレンス無傷の全勝1位通過を目指し、再び集中力を高める。
勝負を決めたトライをお膳立てした田村煕選手。「(ラストトライは)ヒカルが良い仕事をした。ヒカルはとても才能ある選手なので、彼が10番に入る時に自分がFBの位置に就くことを厭わない。(バレット選手)」
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