田村主将「悔しいけど嬉しい」。パナソニック、プライドのDFでベスト4|TL2021準々決勝

HISTORY of PANASONIC  Wild Knights

試合前練習を終え、首脳陣がコーチーズボックスに向かうその道中。

相馬朋和スクラムコーチ兼チームコーディネーターはメインスタンドの4階席に足を延ばすと、試合を見守るノンメンバーの元を訪れ、一人ひとりと拳を突き合わせた。

「キックオフを研究されていて、再獲得できずプレッシャーを受けた。ただそこでパニックにならず臨めていたのは、強みのディフェンスがあるから。」

司令塔の松田力也選手は、試合後にこう振り返った。

キヤノン12番・南橋直哉選手にノーホイッスルトライを許したのは、後半28分。田村優選手が蹴り上げたキックオフボールを23番ホセア・サウマキ選手が左サイドで獲得すると、右に展開した先でトライを決められてしまう。

「沢木監督を含め、良い戦術を作ってくることは試合前から分かっていた。何が起こってもパニックにならず、しっかりコミュニケーションを取る練習はしていました。(松田選手)」

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インパクトのあるトライを決められると、そのまま流れを相手に持っていかれるケースもある。

だがパナソニックは、落ち着いてひたむきにディフェンスをし、ディフェンスをしながら前に出る。そしてターンオーバーした瞬間に一気に攻撃を仕掛ける。

この光景を、今季幾度も繰り返した。


試合中、FWは何度も円陣を作り言葉を交わした

この日の失点は、ヤマハ戦での19に次ぐ17。

それでもロビー・ディーンズ監督は「チームのディフェンスに満足しています」と答えた。

「キャノンの素晴らしいアタックに対して、我々のディフェンスからアタックを仕掛けることができた。(ジャック・コーネルセン ゲームキャプテン)」

「タフな試合になることは想定できた。いろいろなアタックをしてくることに対応して、ディフェンスから流れを作ることを意識しました。試合全体を通すとディフェンスが良くできたので、こういう結果になったかなと思う。(布巻峻介選手)」

全ての選手そして監督が、おなじ試合の流れを思い描き、同じ言葉で語ることが出来る。

これが、このチームの強さだ。

最後のトップリーグも、最終盤。王座を手に入れるまで、あと2勝。

「ディフェンスにプライドを持っている。我々はディフェンスのチーム。(布巻選手)」

全ての選手・監督が口にする「ディフェンスから流れを作る」プレースタイルで、野武士は準決勝の地・花園へ向かう。


試合前練習から弾ける笑顔だった福井選手。23番で出場したこの日、1トライを決めた

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