東京2020オリンピック|7人制ラグビー|11位決定戦|ケニア 対 日本|7月28日(水)9:00キックオフ
5年間目指し続けた、東京オリンピックでのメダル。
その頂には到達しないことが確定した大会3日、最後の対戦相手・韓国との11位決定戦に挑んだ。
キックオフは日本。
しかしボールが韓国の手に渡ると、繋がる攻撃を止めきれず3番アンドレ・ジン・コキラード選手にトライを許す。
前半45秒での韓国のトライ。コンバージョンキックも決まり、7-0と先制を許す。
次の韓国ボールキックオフは、日本がしっかりとキャッチ。
加納遼大選手、松井千士キャプテンと繋がり内にオフロードパスすると、最後はトゥキリ ロテ選手がトライ。
加納選手のコンバージョンキックも成功し7-7。やはりキックオフさえ取ることが出来れば、攻撃は繋がりスコアに結び付けることが出来る。
次の日本ボールでのキックオフもしっかりとボールを確保し続けたい所だったが、タッチラインを割るとラインアウトから韓国7番・張ジョンミンに右サイドで抜かれトライ。
前半4分半、12-7とシーソーゲームが続く。
4本目のキックオフは日本が確保。本村直樹選手、加納選手、彦坂匡克選手とグラウンド中央でオフロードが繋がり、彦坂選手にとって今大会1本目のトライが決まった。
12-14、この試合初めてリードを奪う。
続く攻撃も韓国がペナルティを重ね、ジャパンがエリアを稼ぐと、22m内で再び笛が吹かれた時に韓国3番コキラード選手がゲームの進行を妨げる遅延行為でシンビンに。
数的有利を活かしてマイボールスクラムを選択したジャパンは、スクラムハーフの加納選手がそのまま持ち出しグラウンディングした。
12-19と7点リードで、前半を折り返す。
泣いても笑っても最後の7分間。
攻撃の手を緩めたくない日本は、韓国ボールのキックオフを確実にキャッチすると、自陣22m内から攻撃を繋げる。
最後は松井キャプテンが右サイドで韓国選手を振り抜いて50mの独走トライ。
これで今大会4トライ目。全て、相手選手を振り抜き長い距離を走り切ってのトライだ。
後半1分、12-26と今大会最多のリードを奪う。
その後、セル ジョセがノット10mの反則で今大会2つ目のシンビン。
藤田慶和選手、副島 亀里ララボウラティアナラ選手、羽野一志選手などのフレッシュレッグを投入しながら人数が1人不利な状況を凌ぐと、韓国8番・張ジョンミン選手もインテンショナルノックオンでシンビンに。
互いにグラウンド上には6選手同士とイーブンコンディションになったものの、反則が重なり、最後は左サイドでタックルが交わされトライを決められる。
コンバージョンキックも決まり、19-26。リードは僅か、1トライ1ゴール差まで縮まった。
後半4分を過ぎると、チーム最年少・21歳の石田吉平選手もピッチに立つ。
するとキックオフボールをキャッチした石田選手がブレイクダウンでボールを懸命にキープすると、ボールアウトした所で羽野選手が駆け抜けトライ。
19-31、リードを12点に広げる。
試合終了のホーンが鳴った後のラスト1プレー。
韓国にインゴール目前まで攻め込まれるも、キレの鋭いステッパー・石田選手がお手本のようなジャッカルに成功する。
蹴り出して試合を終了させるかと思いきや、石田選手はタップキックで試合を継続させた。
まだ、この舞台で戦いたい。そう言っているかのようだった。
しかし残念ながらその後のボールは繋がり切らず、ノックオンで試合終了。
19-31、日本代表は東京オリンピックで初めての勝利を手にした。
大会前、選手は口々に言っていた。
「オリンピックでメダリストにならないと何も変わらない」
「オリンピアンになるだけなく、メダリストになろう」
結果は残念ながら、届かなかった。
世界は、甘くなかった。
だけど東京オリンピックで「セブンズを見たことがない人に楽しんでもらう」ことは出来た。
当初目指していた規模感ではなかったかもしれないが、この東京オリンピックで初めてセブンズを観た人たちは口々に「こんなに面白いのか」「もっと見たい」「セブンズの楽しさが伝わった」と言う。
オリンピックの選手内定式で松井キャプテンが語った「望まれた大会ではないかもしれない。でも僕たちにはラグビーしかできない」という言葉。
ラグビーしかできないけど、ラグビーができる。
そのラグビーで、人の感情と好奇心を刺激できる。なんと素晴らしい職業だろう。
選手たち、またこれまでずっとサポートしてきたスタッフの面々にはどうか、頭をあげて帰ってきてほしい。
そしてこれから先のジャパンセブンズの中・長期的な強化方法については、ぜひともオープンな場で知恵を出し合い、前向きな策を日本ラグビーフットボール協会には検討して欲しいと願ってやまない。
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