ラグビーの季節がやってきた。
花園出場を目指し、青春をかけて戦う選手たちをレポートする。
試合概要
【対戦カード】
正智深谷高等学校v 西武台高等学校
【日時】
2021年9月23日(木・祝)13:00キックオフ
試合結果
正智深谷 21 – 0 西武台
(前半 7-0、後半 14-0)
試合展開 ~正智深谷高校~
「緊張しました」
正智深谷高校の佐藤太星キャプテン(6番)は試合後、顔を綻ばせながら開口一番そう語った。
堅い出足。
西武台に大きなゲインこそ許さないものの、自分たちの攻撃もなかなか繋がらない。
初戦はやはり、空気の作り方が難しかった。
しかし、押さえるべき所は心得ている花園経験校。
後半10分を過ぎた頃、選手たちから次々と声が聞こえてきた。
「下入られ過ぎ」
「さっきと同じミスやめよう」
「ここで気を抜いたらいつもと変わんないじゃん」
「もう一本取ろうよ」
そして最後に一言。
「緊張してんちゃうん?」
チームの空気を変える一言は、ダメ押しの3トライ目を生み出す。
21-0。
後半の勝負所で、しっかりと決め切った。
西武台を零封で抑えてもなお、安堵した表情は見せなかった菅原悠佑監督。
「西武台さんに良い勉強をさせてもらいました」と語ったその目は既に、次なる草加戦を見据えていた。
最後のノーサイド ~西武台高校~
西武台高校は今年、マネージャー含めおよそ50名の大所帯となった。
どこの学校も部員の確保に苦慮し、単独チームを作ることが難しい学校も増える中、である。
しかし西武台の試合を見ると、多くの学生が入部し、そして続ける理由が分かる。
「最後は託そう」
交代した選手を出迎える時、河野芳人監督はそう声を掛け握手をした。
7点ビハインドで迎えたハーフタイムには「良いゲームで終わらせる気はないからな」と選手たちを鼓舞する。
ベンチに戻った選手たちも一切座り込むことなく、具体的な指示を、そして仲間を落ち着けるための声を掛け続けた。
今年の3年生は、西武台史上初めて「花園を目指したい」という意志を表した。
だから3年間炭酸飲料を飲まなかったし、厳しい練習にも耐えた。
試合を想定した練習で一番多かったのは、残り10分で12点ビハインド。
実際、この試合も残り10分で14点を追いかける展開となった。
だからベンチからは「想定どおり」との声が飛び、ロスタイムでの逆転を目指して試合を組み立てようとグラウンドに立つ15人は努力した。
だがしかし、相手はシード校。
30度を超える気温も相まって足が止まり、最後の10分で逆にダメ押しのトライを許してしまう。
新型コロナウイルス対策のため、部員全員が試合会場へ訪れることは出来なかった。
試合後、河野監督は泣く泣く連れて来られなかった1・2年生にも「見せたかった試合」と話す。
「私たち顧問と下級生とで本当に花園に行くチームにする、と3年生に約束しました。」
西武台高校が花園を目指す道は、まだ始まったばかりである。
↓試合後のインタビュー動画はこちらから↓