15分の2。2人の3年生が見せた背中|準決勝 昌平v川越東【第101回全国高等学校ラグビーフットボール大会埼玉県予選】

試合展開 ~昌平高校~

昌平:緑ジャージ、川越東:黄紺ジャージ

花園で年越しするために、まずは埼玉県予選を完封勝ちする。

そうチームで決めて、挑んだ準決勝だった。

だが、前半24分に今大会初の失点。

気落ちする仲間を前に、北川キャプテンは声を掛けた。

「いつも通り、昌平らしいラグビーをしよう」

試合の入りこそ昌平ペースでトライが取れたものの、段々と足止めをされるシーンが増える。

後半には3連続でペナルティを取られ、インゴール前に張り付けにされた時間帯もあった。

ラインアウトモールを組まれ押し込まれたのも、自分たちのオフサイドが起因。

後半30分間で取られたペナルティは、なんと6つ。試合通して、ペナルティ数は9つに上った。

チームが流れに乗り切れない中、頼りになったのは、やはりキャプテン。

50:22キックを1本と、「公式戦では初めて」というドロップゴールを1本、決めた。

チャンスがあればペナルティゴールを狙う予定だったが、「ここしかない」と思ってゴール中央でのドロップゴールに変更。

会場が、沸いた。

スコア的には24点差での勝利。

だが、決勝進出を決めた御代田監督の表情は硬いままだった。

「チームとして作り直さなきゃいけない。」

なぜならば、目指す頂きがここではないから。

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5月に行われた関東大会の埼玉県予選・決勝では、熊谷工業を相手に完封勝ちし、涙を見せた北川キャプテン。

あの時は、キャプテン不在のままチームの力で決勝に勝ち上がっていた。

今は、キャプテンがチームの不調を助ける。

「バックスのトライが目立つのは、フォワードがスクラムで組み勝ってくれるから。例えノックオンをしてもスクラムに自信があるからこそ、バックスが躍動する。全てはフォワードの頑張り」と、御代田監督は話す。

持ちつ持たれつ。

今年も、昌平らしいチームが出来上がった。

当初目標としていた、全試合完封勝ちでの花園出場は出来なくなった。

だが、目線は下げない。

「今日は、いつも通りのプレーが出来ていなかったから崩れて自滅してしまった。とにかくノーペナルティ。一週間、ノーペナルティを意識して練習したいと思います。(北川キャプテン)」

11月13日、笑顔で2年連続の花園行きを決める。

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最後のノーサイド ~川越東高校~

先発15人中、3年生は僅か2人。

3年生の選手数が少なかったわけではない。

1・2年生が、実力でスターティングを勝ち取っていた。

試合開始20分で3トライを許した川越東。

しかし誰の気も落ちない。

「こっから上げよう、ヒガシ!」

グラウンドから、下級生の声が聞こえる。

その声に反応したのは、昨年も先発メンバーとして試合に出ていた2年生の土居選手(15番)。

前半24分、相手のディフェンスラインをかいくぐると、ショートサイドに控える3年生の平田バイスキャプテン(14番)にボールを繋ぎ、トライを奪った。

キャプテンの福永選手(7番)は、至るブレイクダウンに顔を出し、体を張って仲間にキャプテン像を示す。

「1個上の江田先輩のようなキャプテンではなかったけど、プレーで示せたかな、って。」

後半10分に奪ったラインアウトモールでのトライは、キャプテンとして、フォワードとしての意地だった。

プレーで追うべき背中を示したキャプテンと、コミュニケーション力でチームをまとめたバイスキャプテン。

交代のためピッチを後にする1・2年生たちは、泣きながらベンチに戻ってきた。

それだけで福永組がどういうチームだったのか、窺い知ることが出来る。

福永キャプテンは言った。「来年は絶対に優勝して、花園に出場して欲しい。」

想いは、後輩に託された。

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