The Side of 成蹊大学
選手入場の合図が掛かると、両校の先陣を切ったのは成蹊の諸藤陸キャプテン。
緊張した表情は次第に、涙で濡れた。
「立教と戦えることに感謝の気持ちでいっぱいでした。
そして何より、目の前のバックスタンドに大勢の観客が見に来てくれているのが目に入って。
今年はずっと、無観客でした。選手としても辛い気持ちがあった中、大勢の方に支えられていることが目に見える形で分かって嬉しくて、感情が高ぶりました。」
その分、絶対に勝たなきゃいけないという気持ちにもなった、という。
2年前の入替戦も同カード。
いや、入替戦のなかった昨年を除き、6回連続で立教と戦ってきた。
2年前はラストワンプレーで逆転を許し、対抗戦グループBに降格した成蹊。
だから「当時の悔しさを胸に、立教に勝つことだけを考えて2年間やってきた」とバイスキャプテンの平松東悟選手は言う。
今年の代は、一番強い代だと自覚していた
ただ、どうしても接点で圧力を受け、思い描いていた戦いが出来なかった。
「AとBとでは、9月からの経験値が確実に違う。ある意味対抗戦グループAで体感したものが選手たちの基準となり、試合に出た選手たちが練習グラウンドに持ちかえってみんなでトレーニングをすることが出来る。(池田監督)」
その経験値を、2年間積むことが出来なかった。
また成蹊は部員数の事情から、ジュニア選手権に出場していない。厳しい懐事情の中で、チームを作り上げることがどれほど難しいことか。改めて実感した80分間だった。
前半18分、14番・鈴木康太選手のトライに喜ぶ選手たち
「一昨年・昨年の先輩たちの悔しい思いを、自分が一番分かっていると思っていた。
昇格のために、立教に勝つために準備をしてきた。
点数は離されたが、自分たちのやりたいラグビーを少しは体現できたかな、と思う」と話した諸藤キャプテン。
記者会見中にも、時折涙が溢れ出た。
「FWだったら3年生、BKだったら2年生が今日の入替戦を多く経験している。球際の厳しさを、日頃の練習から示していって欲しい。(平松バイスキャプテン)」
この悔しさは、後輩が受け継ぐ。
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