The Side of 明治大学
この試合のテーマは『トラスト』。
信じ切ることができた。だから今季初めて、ワセダから勝利を収めることが出来た。
信じたこと、1つ目。
対抗戦での早明戦終盤、スクラムにこだわった結果、勢いを失った場面があった。
だからこの試合でも後半23分過ぎ、インゴール前でスクラムが続くと、飯沼蓮キャプテンはFWに問うた。
「いけるか。」
FWは答える。
「絶対いけるから、大丈夫。」
敵陣5mスクラムでペナルティを獲得すれば、もう一度スクラムを。
再びのペナルティを得れば、またのスクラムを。
残り時間15分で2点差を追いかける明治には、磨いてきたストロングポイントで勝負する自信があった。
22m内に入ったら、FWで取り切るという意識が植え付けられていた。
2度フロントローとレフリーが話し合うと、明治ベンチから響いた「まとまり!」の声。
その次のスクラム、アドバンテージをもらいながらスクラムからパスアウトすれば、FW戦で押し込んだ。
残り10分で、5点差。
再び、リードを奪い返した。
信じたこと、2つ目。
ファーストトライの後、コンバージョンゴールを外した12番・廣瀬雄也選手。
その20分後、ゴール正面でペナルティを獲得すれば、ショットを選択した。
飯沼キャプテンは廣瀬選手のもとに駆け寄ると、そっと背中に手を当てる。
入ると、信じた。
「自分、仲間、自分たちがやってきたことを信じよう、と。このゲームの主人公は自分たちだ、と強く信じることが出来た。」
天理・早稲田とリベンジを果たした飯沼キャプテンは、それまでの『全てを一手に引き受けた』かのような表情から、次の段階のキャプテンシーをのぞかせていた。
試合前、大石康太バイスキャプテンは涙を流しながら「絶対勝とう」と仲間に伝えた。
それを聞いた、3年生のPR大賀宗志選手は「絶対負けられない」と思った、という。
「練習試合を含め、今シーズン4回目の早明戦。これまでの3回、全て敗れていた。
先週天理に勝って、早稲田にリベンジするチャンスを与えられたので『4年生に全敗はさせられない』という思いで挑んだ。勝てて本当に嬉しい。」
飯沼キャプテンは、同じ言葉を何度も繰り返す。
「まだまだ明治は成長出来るチーム。優勝まで突っ走りたい。」
未完成なチームは、1月9日での完成形を目指し、2022年を迎える。