國栃史上初のファイナリストへ「試合はキツかった。でも楽しかった。」桐蔭は誇り高きセミファイナリスト「勝って恩返しをしたかった」|第101回全国高等学校ラグビーフットボール大会|準決勝 國學院栃木×桐蔭学園

桐蔭学園

「完敗ですね。」

藤原監督は、開口一番にそう発した。

前半29分まで18点のビハインド。

攻めても押し返される、そんな時間が続いた。

ハーフタイムには「後半風上になる。だからハイパントや自分たちのアタックの組み立て方を考えよう」と中島潤一郎キャプテンは仲間に話をした。

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それでも相手が徹底的にエース・矢崎由高選手をマークし、仕留め切ることが出来ない。

「あと一歩の所で反則をしてしまったり、あと一歩繋がれば、という所で崩し切れなかった。素直に自分たちの実力不足です。」

中島キャプテンは冷静に振り返る。

後半、点数が離れ残り時間が少なくなると、「勝てるのか?」という不安がチーム内で高まった。

だからどんなに苦しい時間帯であろうとも、全員が顔を上げることを意識した。

 

それでも届かなかった、決勝の舞台。


15番・矢崎選手から3年生へ「ここまで引っ張ってくれてありがとう。お疲れ様。借りを返して、来年日本一にします。」
試合後、中島キャプテンは「1・2年生に勝たせてあげることが出来なかった」と涙を流した。
「みんな、ここまで良く成長してくれた。最初は何も出来ない所から始まって。ここまで全国レべルの相手と戦えたことは、自分としても誇りに思います。
1・2年生は、1年間自分たち3年生を見てきた。自分たちの何がいけなくて負けてしまったのか、しっかりと考えて欲しい。全国で勝つにはどこのレベルのものが必要なのか、実感できたと思う。来年は来年の色がある。もう一度ゆっくりでいいので、自分たちのラグビーをみんなで考えて欲しい。」

選抜大会では、負傷中の中島キャプテンに代わってゲームキャプテンを務めていた4番・小椋健介選手(写真右)。春よりもはるかに大きくなった
そして桐蔭学園で過ごした3年間を振り返れば、改めて目頭を押さえる。
「藤原先生は、自分のことをラグビープレーヤーとしてではなく『一人の人間』として見てくれた。恩師です。勝って恩返しをしたかった。自分がチームを勝たせてあげられなくて、申し訳ない。」
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それでも、前を見ることを忘れない。
「ここで負けたことには意味があると思う。これからの人生、何をしていかなければいけないのか、もう一度考えていきたいと思います。
100人を超える桐蔭学園ラグビー部。100人をまとめる経験というのは、人生の中でも中々ないと思う。
苦しい中でどうしなければいけないのか、逃げてはいけない部分や柔軟性、自分に足りないものを吸収出来た1年間だった。
その中で自分に足りない所も常に実感していた。これから生きていく上で重要な、濃い1年間だった。」
選ばれし者しか背負えない、3連覇という重圧。
後輩たちはこれから、新たな桐蔭学園の道を切り拓く。

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