『ディフェンスの東福岡』
アタックのイメージが強い東福岡にとって、聞き馴染みの薄い言葉かもしれない。
「結局、トーナメントを勝つにはこれしかない。今年は積極的にディフェンスしよう、って。そういう体を張れるメンバーが揃いました。(藤田雄一郎監督)」
自陣5mで相手にラインアウトモールを組まれても、インゴールで2度、ヘルドアップ。
キックチャージされたって、素早い戻りでボールを相手に渡さない。
自陣でのプレーが続こうが、最後はパイルアップでボールを奪い返した。
その屋台骨となったのが、12番・西柊太郎選手。
174㎝ 73kgと決して大きくない体ながら、幾度もビッグタックルを見せた。
フルバックとして最後尾からディフェンスのポジショニング指示を出し続けた石原幹士選手は「昨年から試合に出場していたメンバーとして、リードしチームを鼓舞しないといけない責任を感じている」という。
選抜にやって来る前、3年生たちが練習に付き合ってくれた。「お前らも強いし、いける。自信持て」と声を掛けてくれたことが自信になった、と話す。
「フルバックとして声を出すのは当たり前。自分がディフェンスをせずに済むよう、仲間に指示を出します。」
目標とするのは、同じく京都から東福岡に進学し、寮生活を共に過ごした2学年先輩の吉野遼氏。「まだまだ(追いついてない)です」
60分間、バチバチに体を当てた。
天理は常のダブルタックル。
肌と肌がぶつかる瞬間の、高く弾くような音が何度も響き渡った。
それでも屈しない強固なディフェンスを発揮した東福岡。
ラストワンプレーでトライを許したが、1トライに抑えた意味は大きい。「天理さんの素晴らしいアタックをしっかりディフェンス出来て、自信になった。」
ベスト8入り最難関の山を越えた原動力は「この2年間、なかなか試合に出ることが出来なかった選手たちのくすぶっていた思いが良い方向に働いている」とは藤田監督。
1回戦・國學院久我山戦よりも更にディフェンスのイメージを強くした東福岡。
体を張れる選手たちによる、新しいスタイルでの選抜連覇を目指し、準々決勝は春日丘と対戦する。
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