大分東明のエースは心優しきフィジアン「チームメイトや仲間が支えてくれるから、今もここでラグビーが出来る」|第23回全国高等学校選抜ラグビーフットボール大会 東海大大阪仰星×大分東明

「勝ちたかった」

白田誠明監督は、この試合の位置付けについて記者からいくつかの選択肢をもって問われると、選択肢にはなかった「勝ちたかった試合だった」と答えた。

「高校ラグビーずっと引っ張っ来られてる仰星さんなのでいつかそういったところ(東海大大阪仰星に勝つこと)チャレンジしていきたい、っていう子どもたちずっとしていました。

この組み合わせ決まっから、もちろん(日本航空)石川さん含め全国に名前の通っているチームいかに自分たち乗り越えいけるか、という戦いでした。」

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これまで取り組んできたディフェンスが機能し、東海大大阪仰星を1トライに抑えたのが前半。

「相手陣地でずっとやれたのが良かったですね」と監督が話せば、浦山丈キャプテンも「通用したのはディフェンス。前に出て、自陣に入らせないことが前半は出来た」と前を向く。

「ミスは多かったけど、やりたいことはやれたかなと思います。」

後半には花園王者から1トライを奪った。


花園ベスト4以上のチームと戦った経験が少ない。だから試合前には「名前にビビらずに行こう」「相手は同い年、差はそんなにないはず」と仲間に話をした

昨年度の花園大分県予選決勝。大分舞鶴と60分間を戦い、なんと同点引き分け。抽選の結果、花園行きを逃した。

「花園に出られなかった分11月からもう一度基本的ベーシックスキル ――出ること低く入ること―― やり込んきた。トップチームなんとか対抗できたことは、一つ収穫だった思います。(白田監督)

良いゲームはした。

だが、壁は越えられなかった。

ここからもう一つ、その壁を越えるために必要なこととは。

「試合後、するうちするいた。悔しい思い感じいうこと自分もっと出来るもっといけるっていう可能性感じたということ。なのでその気持ちしっかり感じこの行動やどういう選択するということが全部冬に繋がっていくよ」というしました。(白田監督)」

実は浦山キャプテンも「自分たちの生活態度を改めなければならない」と1・2回戦で何度も繰り返し話をしていた。

「普段行動が、今日のミス繋がっ思う。浮付かず、自分たちのやるべきことを一つ一つやっていきたいと思います。」

ラグビー選手である前に、一人の高校生として。

日常から、これまでを越えていく。

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チームのエースは、ダウナカマカマ・カイサ選手。エースは誰か、と問えば皆が口を揃えて「カイサ」と答える。

そんなカイサ選手の印象的なシーンは、後半も最終盤。相手陣5mでペナルティーを得ると、手にボールを持ち、仲間の方を振り返って熱く声を掛けた。

「裏へのパスは辞めて、前に出よう。」

必至に、仲間に、日本語で伝えた。

「アタックではコミュニケーションのミスがあったけど、みんな頑張った。」

ことごとくマークにあい、ひたすらにノミネートされ続けた60分。

しかし、3ヵ月程前に頂点に立ったばかりのチャンピオンチームから名前を呼ばれたことが「めっちゃ嬉しい」とはにかむ愛らしさを見せた。

コロナのため入国が遅れ、日本での生活をスタートさせたのは僅か1年と4か月前。

日本語でインタビューの受け答えをしながら、困ったことがあれば傍らで見守る監督にアイコンタクトで助けを求める。そして、監督は優しく助け船を出した。

たった1年強で、これほどまで日本語の理解力と表現力を身につけたのは、紛れもなく大分東明高校の空気感あってのことだろう。

 

しかし、英語でも良いですよ、と伝えれば、胸に秘める思いをとめどなく紡ぎ出した。

「日本でラグビーをする機会、ラグビーキャリアを追求する機会を頂けたことに心から感謝しています。それもこれも、監督が僕を選んでくれたからこそ。」

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ただやはり、コミュニケーションが一番難しい、とカイサ選手自身も正直に話す。

「日本に来た当初は、日本に居られないかもしれない、と思ったこともありました。でもチームメイトや仲間が支えてくれるお陰で、今もここでラグビーが出来ます。僕が日本語を覚えるだけでなく、みんなも僕の言語を勉強してくれるんですよ。学校の仲間、そして日本で僕に関わる方々みんなが本当に優しくて、みんなが気に掛けてくださるから、日本に居ることが出来ます。」

グラウンドから離れれば声のボリュームは小さくなり、ようやく聞こえる程度の音量で話す。

シャイで優しい、だけどグラウンド上ではとてつもなく頼りになるスーパーヒーロー。

目標は「リーチ マイケルとテビタ・タタフ!」

この日のインタビュー中、一番大きい声で、笑顔で「大好き」と答えた。


左が浦山キャプテン。優しい眼差しで、カイサ選手をそっとサポートする

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