最上級生として増す責任感。桐蔭学園12大会連続のベスト8。修猷館は「自分たちのラグビー」を貫く|第23回全国高等学校選抜ラグビーフットボール大会 桐蔭学園×修猷館

桐蔭学園

前半20分までスコアレス。

なかなか流れを掴み切れずにいると、グラウンドいっぱいに声が響いた。

「スクラムサンキューね!」

「やりたいこと、出来てるよ!」

声の主は、11番・白石颯選手。

身長168cmと小柄ながら、誰よりも大きな声で仲間にポジティブなマインドを仲間に届けると、チームは徐々に本来の巧さを取り戻す。

試合最初の苦戦が嘘のように、試合終わってみれば5トライを奪っての完封勝ち。

キャプテン・松田怜大選手を欠く中、危なげなくベスト8進出を果たした。

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1年次からフルバックとして桐蔭学園のスターティングメンバーに名を連ねていた矢崎由高選手は、今大会スタンドオフにコンバートした。

始まったばかりの新しい挑戦。チャレンジが続く毎日を、支えてくれる人たちがいるという。

その中の1人が、かつて桐蔭学園でラグビーをしていた従兄弟の矢崎誠氏。現在は埼玉パナソニックワイルドナイツの通訳として、日本最高峰の舞台でラグビーに携わっている。

「試合の後には連絡をし、アドバイスをもらっています。昨日の1回戦後にも電話をして、感想を教えてもらいました。」


左手首に巻かれたテーピングには、ぎっしりと戦術が書きこまれていた

昨年の選抜大会でインタビューをした時には、か細い声で声を拾い上げることも難しかった。

しかし今年は、ハキハキと言葉を紡ぐ姿にたくましさを覚える。

「1年生よりも2年生、2年生よりも3年生になる今の方が、プレーに対する責任感は強くなった。今年は自分たちを引っ張ってくれる先輩たちがいなくなったので、自らアクションを起こすこと、呼び掛けることを意識している。特に僕は仲間よりもこれまで試合に出ていたので経験値がある。伝えられることは多くある。」

最上級生としての自覚が宿る。

「今大会の個人的な目標は、スタンドオフとしての試合勘を高めること。ランを活かす場面も時には必要だが、チャンスメイクを多くしていきたい。」

準々決勝の相手は、東海大大阪仰星。

冬の王者を相手にどのようなゲームメイクをするのか、楽しみだ。

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修猷館

「自分たちのラグビー!」

後半のキックオフ直前、円陣をほどいた選手たちは声高に叫んだ。

激戦区の九州大会を勝ち上がり、14大会ぶり2度目の選抜出場を果たした福岡県立修猷館高等学校ラグビー部。

1回戦では東北の伝統校・秋田工業を31-10で下すと、2回戦では選抜最多タイ出場記録を誇る桐蔭学園と対戦した。

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試合序盤から全く怯むことのなかった修猷館フィフティーン。

桐蔭のキープレーヤー・SO矢崎選手をひっくり返す程のタックルを見舞うと、すぐさまターンオーバー。キックで陣地を進め、ボールが転がった先、敵陣22m内でのブレイクダウンにもすぐさまプレッシャーを掛ければ、連続してターンオーバーを決めた。

攻め込まれても、諦めずに走り戻ってゴール間近でのノックオンを誘う。

前半20分まで桐蔭学園をスコアレスに抑えたことは、必ず自信になるはずだ。

「修猷館ラグビー見せてこうや!」

「いつも通りや、しゅーゆー!」

届かなかった1トライ。だが、最後まで自分たちのラグビーを貫いた。

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