ボールを持たなくてもHAPPYなチームに
遡ること数か月前。コーチ陣は、今季東福岡が戦うテーマについて、選手たちにプレゼンテーションを行った。
『GREEN WALL(緑の壁):ボールを持たなくてもHAPPYなチームになろう。タックルでなぎ倒し、相手からボールを奪い返すことが好きな文化を創ろう。』
好きこそものの上手なれ。好き、という感情がもたらす効果は抜群である。
「ボールをもっていない時がハッピーだよね、っていうチームになれたら強いですよね。」
下のボールに対して、蹴るでも拾い上げるでもなく、飛び込もう。
だから藤田監督は、選抜大会から一貫して「今年は痛いことが出来る、体を張ることが出来るチーム」と話してきた。
ボールを回す華麗さよりも、ガンガン当たれるチームに。
ある意味東福岡のラグビーらしくはないが、それは今季の選手の特性に合わせてモデルチェンジをしたから、である。
藤田監督は何度も繰り返す。「今年はディフェンス。」ディフェンスのヒガシは、体を張り、痛いプレーを惜しまない
花園5大会連続ベスト4止まり。一つ壁を破るためには、ディフェンスにおけるエナジーが必要だ。
「布巻(峻介選手、現・埼玉ワイルドナイツ)たちが3連覇した時は、そこが強かったんですよね。」
例え展開力で負けていても、どんどん頭を入れることが出来た代は強かった。
「今年はそこに近付いてきたかな、と思います。大分東明戦でも、1年生・2年生のミスを、3年生たちが最前線でファイトしてくれた。」
大分東明戦で頭を入れ続けたバックローの3人、6番・大川キャプテン、7番・大寶百合人選手、8番・藤井選手を、藤田監督は褒め称えた。
エナジーとは、試合前に声を合わせることでも、試合中に叫ぶことでもない。
「勝ちたい」という欲を、プレーに表す表現力。
それが今年の東福岡では「痛いラグビー」「ボールをもっていない時がハッピー」として、描出することが出来ている。
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