Cブロック
桐蔭学園高等学校(神奈川)×川越東高等学校(埼玉)
「頭の良い学校なので、規律あるし自分たちで考えてプレッシャー掛けてくる、真面目にやるチームだなと思います。」
対戦校である桐蔭学園・藤原秀之監督は、川越東をこのように評した。
セットピースを安定させ、スクラムでペナルティを奪い、体を張ってディフェンスに戻った川越東。
独走されそうになったトライをいくつも阻止し、FB土居泰介キャプテンが決めたジャッカルは3本。その度に笑顔でチームメイトから頭を叩かれた。
川越東にとっては、自分たちのやりたいラグビーが表現出来た前半。
しかし実は、それこそが桐蔭学園の術中であった。
「全く相手の情報がないので、前半は相手がどういうチームなのか自分たちで情報を収集しよう、と。前半で理解して、だから後半はこうやって戦おう、と自分たちで考えて戦術を組み立てることが出来たと思います。
セットプレーは意外と強いよ、ラインアウトも背が高いよ。じゃあ何しようか。インプレーを長くしよう。インプレ―を長くすることによって、相手にミスも生まれるし、そうするとどんどん海の中に潜っているような感覚になってくる。スタミナ勝負になったら、うちの勝ちです。いつの間にか桐蔭学園のペースになっているイメージですね。(藤原監督)」
言葉通り、後半桐蔭学園のトライが重なると、息を上げながらインゴールに戻り、言葉数も少なくなった川越東。
しかしその中でも「ごめん、俺のタックルミス」と自らのミスがトライの要因になったことを申告したり、「こんな経験ないよ!」「頑張ろう、あとちょっと!成長しよう!1本頑張ろう!」とキャプテンが声を掛けたり。
63点差での敗戦ではあったが、悲観する必要のない、ポジティブな50分間を身をもって経験することが出来た。
両チームのキャプテン対決
2年前、初めて花園に出場した時よりも、より玄人みを増した川越東。
大会2日目には専修大松戸と対戦し、夏の成長期へと突入する。
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強くて速い選手がボールを持てば、一瞬でトライを取り切った桐蔭学園。9トライ9ゴールと完璧な内容で、Cブロック初戦に勝利した。
それでも藤原秀之監督は「一番足の速いやつは置いてきてるから」と笑う。
「いま、改造中です。着々と1ヵ月半が過ぎて、残り半分。『松島幸太朗化計画』です。」
この会話の主人公は、1年次から見る者の視線を奪ってきた矢崎由高選手(3年生)。
3ヵ月掛けて肉体改造するのは、もちろん最終学年で花園王者を奪還するため。しかしそれ以上に、今後のラグビー人生を見据えた改造計画と紐解く。
思わず、10年後が楽しみです、と言えば「いや彼は2027年ですよ」と藤原監督は即座に返した。
5年後を想定した人の育成。
多くの日本代表選手が輩出される所以を垣間見る。
14番・松田怜大キャプテンも復帰。健脚で2トライを奪った。1年生も4人出場。久しぶりの公式戦となったメンバーも多くいた。「今大会は1・2年生メンバーの底上げがメインです」