カップトーナメント2回戦で流経大柏に勝利し、勢いに乗った國學院栃木。
大会最終日、準決勝の相手は東福岡高校だ。
前半開始早々ボールを繋がれ、東福岡に先制のノーホイッスルトライを許す。
続くキックオフから2連続ペナルティで敵陣に入ったが、ここは惜しくもノックオン。ポゼッションを明け渡した。
自陣インゴール間際で一度はノットリリースザボールを奪い、ボールを再度獲得したが、ペナルティからフィジカルを武器にトライを奪われ12点差に。
苦しい展開も前半終了間際、ラインアウトから攻撃を重ねると、最後はペナルティからのクイックスタートで逆サイドに大きく振り、待望のトライは14番・永沢拓夢選手。
ゴールも成功し7-12、5点のビハインドで前半を折り返した。
1トライ1ゴールで逆転が可能な点差に、ぜひとも後半最初にスコアを奪いたい國學院栃木。
しかし2本続けて東福岡にトライを許すと、17点差。
逆転するには厳しい時間帯へと差し掛かるが、最後まで諦めない。
前半同様ラインアウトから攻撃を繋げると、自陣10mから縦へ大きくゲイン。ショートサイドでラックを作った後、逆サイドへ振り直せば、最後は2番・山田壮選手が抜けてトライを奪った。
ゴールも成功し14-24となった所で、フルタイム。
残念ながら、決勝進出とはならなかった。
長い笛が吹かれると、國學院栃木・伊藤龍之介キャプテンは真っ先に対戦相手のもとへ近寄る。そして一人ひとりの顔を見て、手を合わせた。
國學院栃木のキャプテンとして。
背負うものが大きくなる度、嫌みのない力強さを増していく。
遡ること1ヵ月半前に行われた、関東大会での流経大柏戦。リードを奪っていたもののトライを重ねられ逆転されると、円陣の中で仲間に的確な指示を送った。
絶対的な求心力としての姿は、もちろん今大会でも変わらない。試合前のハドル、そして何よりプレーで見せる。ボールを離すタイミングに、相手との間合い。全てを操りながら、消えるように何度もステップを切りボールを放った。
チームの核であることを自覚し行動で表すその姿に、キャプテンとして託された『目に見えないもの』の大きさをも理解する。
「プレッシャーに感じているぐらいだと、まだまだ。跳ね除けるぐらい、というか『それぐらいはやらなくちゃな』というところです。それぐらいやって、しっかり仲間引っ張って。」
だからこその反省もある。
「やっぱりちょっと個人でやりすぎたところがあります。マークされる存在でありながら、無理にマークを解こうとするのは冷静じゃなかったかな、と。もう少し仲間を信じてもっと回すべきだったし、そういうタイプの試合にも今後対応出来るようになっていかなくちゃいけないな、と思いました。」
個人の能力は、昨年以上に磨いている。それだけに仲間の偉大さ、そして仲間がいかに助けてくれているか、を最近特に感じるという。
選抜大会よりも関東大会、関東大会よりも全国セブンズ。キャプテンとして背中で全てを受け止めるからこそ、月日が経つほどに仲間の大切さを知る。
今季掲げる『國栃プライド』。体現するためには、1人では成しえない。
「強い相手には、自分だけではどうしようもない。もっと仲間とコミュニケーションを取って、お互い助け合えるようなチームになれたらなと思います。」
仲間のためにも先頭に立ちたいと望むキャプテンがいて、そんなキャプテンを支えたいと願う仲間がいる。
今年の國栃は、ここからもっと面白くなる。