「選ばれなかった選手とのジャージプレゼンテーション」で気合いを入れた東京と「最高の仲間になれた」神奈川が本大会出場へ|国体関東ブロック大会・少年男子2日目

第2試合 茨城県×神奈川県

茨城県:白ジャージ、神奈川県:青ジャージ

前半をともにスコアレスで折り返した後半3分。

最初にスコアボードを動かしたのは茨城だった。

相手陣22m付近、左サイドで得たペナルティでショットを選択すると、茨城15番・水澤雄太選手が難しい角度ながら落ち着いて沈め3-0。

まずは茨城がPGで先制した。

リードを奪われた神奈川。しかし、やることは変わらない。

神奈川代表の今大会のテーマは「我慢して、神奈川らしく強いプレーで圧倒する」こと。だからミスが起きても諦めず、もう一度チャレンジ。そして強くこだわり続ければ、流れを引き寄せる。

後半最初に得た相手陣5mでのラインアウトでは、チャンスを活かし切ることが出来ず。茨城の堅い守りの前に、FW戦でペナルティを喫した。

一度は陣地を下げられたものの、キックで再びエリアを進め敵陣5mでのマイボールスクラムを獲得すれば、FW陣が奮起する。

ベンチに控える仲間から「FWこだわれ!」の声が響く。

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応えないわけにはいかない。

落ち着いてスクラムからボールを取り出せば、FWが次々と体を当てる。前半に1度取られた反則を意識して、あちこちから「頭上げろ!」の声も掛かった。

一つ、二つ、三つ。

ポイントを作りながらそのすぐ脇にボールを押し込み、我慢強く時を待った。

そして、後半17分。7番・金井悠隼選手(東海大相模)がボールを潜り込ませれば、トライを告げる笛が吹かれた。

10番・野口柊選手(東海大相模)のコンバージョンゴールも成功し、3-7。この試合初めてのトライで、リードを奪った。

神奈川県代表を率いる5番・上村太陽キャプテン(東海大相模)は「あそこまでバックスが持ってきてくれた。決め切るのがフォワードの仕事です。前半にも後半にも全く同じようなシチュエーションがあったので、『しっかり取りに行こう』とフォワードに声を掛けてトライを取り切ることが出来ました。」と、フォワードとしてのプライドを口にする。

より激しさを増す、攻防戦。

ロスタイムに差し掛かると、ボールを手にしたのは神奈川。FW陣が時間を使いながらボールをキープする戦略に出たが、しかしディフェンシブな戦略は時に仇となる。

反則を取られ、自陣22mでボールを茨城に渡すと、そのままゴール間際での争いへ。

落ち着いて捌き、体を当てる茨城。そこに迷いなく体を寄せるは、神奈川。

長い笛が吹かれると、レフェリーの手は神奈川陣側に高く上がり、告げられたノットリリースザボール。

ノーサイド。

3-7で、神奈川が本大会出場を決めた。

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「一番時間を掛けたのは、チームとしてやることの統一でした」と話すは、神奈川県代表・浜倉裕也監督(湘南工科大学付属高等学校教諭)。

「神奈川県下6校から成るコンバインドチーム。それぞれの学校とは異なる戦術なので、それを擦り合わせること。チームとしてやるべきことの意識を合わせることに労力を掛けました。」と言うが、準備に時間が割けたわけではない。

事前の練習期間は僅か3日。それでもここまで力をあわせることが出来たのは「キャプテンの力量も大きかった」という。「明るいし、めげずに声を掛け続けてくれる。本当に助かりました。」と、短期間でチームをまとめ上げたLO上村キャプテンの手腕を評した。

上村キャプテン自身も「最初は知らない選手たちも多かったが、しっかりとコミュニケーションを取ることが出来た。一緒に練習した時間は短いですが、上手く表現出来たと思います」と1週間弱の日々を振り返る。


仲良くなるきっかけをスタッフ陣が提供し、あとはチーム活動外で選手たち自身で親交を深めてもらう。オフザフィールドでのオンライン上での交流は、令和の高校生にとってハードルは高くない

「4点差は渋い」

そんな声を出しながら、帰り支度をした神奈川県代表のメンバー。

「最高の仲間になれた。目指すは本大会での優勝です。やっとスタート地点に立てたので、このままの勢いで、出来ればこのままのメンバーで、優勝までノンストップで行きたいと思います。(上村キャプテン)」

「神奈川の名に恥じないように。全国のテッペンを取るべくみんなで戦います。(浜倉監督)」

関東代表として、神奈川県代表がとちぎ国体の舞台に立つ。

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