1月3日の準々決勝・東海大大阪仰星戦。
抽選カードを引いた植浦キャプテンは「どうせ仰星とやらんとあかんのやったら、はじめの方に体力ある状態でやった方が良いと思った」と抽選の妙を語る。
「優勝するためには、仰星に勝たないと気持ち悪い。」
昨年、ここ花園で仰星に完封負けを喫してスタートした新チームだからこそ、誓った雪辱だった。
LO柏村選手は尼崎RS時代に東海大大阪仰星・松沼寛治キャプテンと同じチームでプレー。試合後「頑張ってな。絶対勝って、優勝して」と託された
準決勝の相手も、大会直前の練習試合で敗れた天理。
日本一のモールを有する天理に、モールを組ませない対策を。そして自分たちからモールを組まなくて良いような対策を、みなで話し合った。
仰星戦が終わった直後、選手たちが集まった場所はミーティングルームのホワイトボード前。白いキャンバスは、直ぐにアイディアで埋まった。
「10年程報徳学園を見てくださっているスタッフさん曰く、僕らは全然ピリピリしていないそうです。それぐらいの雰囲気だからこそ、僕たちは大舞台でも自分のプレーを発揮できているんだと感じます。(植浦キャプテン)」
スクラム前、FW陣が気合いを入れるため、叫んでいる言葉がある。
LO柏村選手が「報徳エナジー」と声を出し、残りのFWが「エナジー」と続けるルーティンだ。
当初は前年度の大学王者・帝京大学を模して「報徳スクラム!」と声を掛けてみたが、今一つ気合いが入らない。
そんな時、提案したのが柏村選手だった。「ずっとエナジーって言っているんだから、エナジーで行こう。」
コベルコ神戸スティーラーズに所属するOB・前田剛氏が練習へ来た時に掛けてくれた「FWがもっと奮起して、エナジーを出そう」という言葉がヒントになった。
フォワードが元気にならないと勝てない。フォワードが勝てば、試合に勝てる。
報徳学園にとって、最後のスイッチを入れるための『エナジー』が注入された。
決勝戦のトイメンは舛尾緑選手。「エグい選手。でも、気持ちで負けたくない。気持ちだけは絶対に負けない。(柏村選手)」