「本物の日本一」へ。報徳学園、ストーリーの最終章へ挑む|第102回全国高等学校ラグビーフットボール大会

報徳学園史上初めての花園決勝戦を控えし今、思うはただ一つ。

「絶対勝つぞ。それだけです。」

チームを率いる植浦慎仁キャプテンは、力強く宣言した。

ピッチに立つメンバーが入れ替わろうとも、その時グラウンド上にいる15人が実力を発揮し続けている今大会。

スクラムを押し、FWが体を当てDFで粘れば、多彩なアタックで楽しい報徳学園のラグビーを表現する。

だが、ここに辿り着くまでの道のりは険しかった。

10月に行われた、とちぎ国体。國學院栃木の単独チームで出場していた栃木県代表に、報徳学園の選手たちを中心に結成された兵庫県代表は、1回戦で逆転負けを喫した。

「そこからずっと右肩下がりの状態が続いてしまって。」

兵庫県大会の決勝・関西学院戦は後半ロスタイムでの逆転勝ち。

大会直前に行われた練習試合でも、尾道、天理を相手に敗れていた。

「普通に負けました。普通に噛み合わなくて、モールもボコボコにされて。」

花園へ向けたチーム作りは、想像以上に苦しいものだった。

しかし、自信だけはあった。

「花園に行ったら、僕ら絶対に勝てる。」を合言葉に、みんなで気持ちを切らさなかった。

花園に入ったら上げて行くぞ。

上げるしかない。そのためにも、自分がやるしかない。植浦キャプテンは、心に決めた。

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チームのスイッチを入れるため、キャプテンとして植浦慎仁選手が意識したことは2つある。

1つ目は『反応』

選抜大会の頃、口酸っぱく言っていた「反応しよう」という言葉を、ここ花園に来てもう一度繰り返すようにした。

「キャプテンが『反応増やせ』と言ってくれると、みんな意識できるようになった」と、ロック・柏村一喜選手は語る。

2つ目は、円陣。

トライを取っても取られても、かたくハドルを組むことを意識した。

大会中、しんどい状況が訪れることは分かっていた。だからこそ、準々決勝・東海大大阪仰星戦前に「苦しい時はみんなで落ち着いてリスタートしよう」と認識を合わせていたことが功を奏す。

準々決勝で2トライのリードを許すと、手を伸ばし仲間たちをハドルへと誘導したのは9番・村田大和選手。

円陣の中で目を閉じ、皆の呼吸を合わせると、チームの結束力は見違えるように向上した。

「僕たちはアタックを継続すれば、取り切る力はある。」

いくつもフェーズを重ねてトライを取り切るアタックが、今大会最大の持ち味となった。

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