桐蔭学園、國學院久我山、流経大柏、國學院栃木。ベスト4決まる|令和4年度 関東高等学校ラグビーフットボール新人大会 準々決勝

第4試合

目黒学院×國學院栃木

前半からトライを重ねたのは國學院栃木。

試合開始1分で11番・大友佳介選手がグラウンディングすると、続く3分には14番・永沢拓夢選手が、5分には再び11番の大友選手がトライを決めた。

前後半あわせて計8トライ。その半分は、エースウイングの11番大友選手がスコアラーとなった。

ノックオンをした選手に、自然と仲間が集まる國學院栃木。

もちろん、ゴール前でのディフェンスでも隙を見せなかった。

目黒学院にペナルティキックを与え、相手がタッチに蹴り出す動作を見せた時でも、万が一のクイックスタートに備えて労力惜しむことなく配置についた選手たち。

細部にこそ、これまで全国で戦い重ねてきた経験値は宿る。

5-50。國學院栃木が、危なげなく準決勝へと駒を進めた。

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「50点差をつけることができるチームを相手に、トライを取られてしまうのは甘さ。これから先勝ち進んでいくことを考えれば、トライを与えずに終わりたかった」と厳しい顔を見せたのは國學院栃木・吉岡肇監督だ。

今日はリザーブの選手が登場した後半に、得点力が落ちた。「やっぱりまだ、スターティングメンバーとリザーブ選手の差がある。いろんなことが見えた一戦でした。」

戦力が変わってもチーム力が落ちない、そんなチームにならなければ全国では勝ち上がることができないことを知っているからこそ、あえて課題を口にする。

今季、國學院栃木のスタンドオフを担うは1年生の神尾樹凛選手。

「(伊藤)龍之介さんの次に背負う10番は、重かったです。」

昨季のキャプテン・伊藤龍之介選手が「来年はこいつが10番ですよ」と指名していた選手が、初めて関東の舞台でファーストジャージの10番を着けた。


写真中央が神尾選手

埼玉県は深谷市立岡部中学校出身。この勝利で出場権を獲得した全国選抜大会は、幼いころから慣れ親しんだ熊谷ラグビー場で行われる。「親もたくさん見に来てくれると思う。優勝を目指したいです。」

そして神尾選手自身が目指すは、チームを優勝に導ける10番になること。

「1年間、目標にしていた選手(伊藤龍之介前主将)が目の前にいました。それを思い出しながら、そういう存在の10番を継げるように頑張ります。」

目指す姿が明確だからこそ、たどり着くまでの道のりもまた明るく照らされる。

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一方、敗れた目黒学院。36点差をつけられ前半を折り返したが、後半は一転、15分過ぎまで國學院栃木にスコアを与えなかった。

「いま一番成長してるよ!」

目黒学院は苦しい時間帯を『成長』と捉え、向き合い続けた。

すると、待望のファーストトライが生まれたのは後半26分。

敵陣深くで何度も國學院栃木の堅いディフェンスに阻まれたが、最後はラインアウトモールから9番・大内琉星選手が押し込んだ。

10分近く粘った末のトライに、喜びを表す目黒陣。

「自信持って!ずっと敵陣にいよう!」と、明るく声を出す。

竹内圭介監督は言う。

「後半、開き直って頑張った。とにかく思い切って、今の時点で通用するところ、通用しないところがはっきりした前半でした。」

だから後半は、通用することを武器に敵陣ゴール前で粘ることができたのだという。

ただ、新チームになってからはディフェンスに注力してきたため、ゴール前で取り切る練習をまだしていないかった。だから現状では「敵陣ゴール前で國栃をくぎ付けにした」ことが収穫だと捉える。

段階を踏み、成長する1年。始まりの新人大会は、どのチームも隠し持つ手数が限られている。

今季主将を務める中村つぐ希キャプテンは、この日ウォーターとしてチームを支えた。

「みんなすごく頑張っている。ただまだ、関東・全国レベルの相手に対しては足りない部分も見えました。もちろん通用したことも分かったので、学びの多い2日間だったように思います。」

外からチームを見ているからこそ、見える景色があった。

「今はまだみんなと一緒にラグビーができていないので、声でチームを盛り上げることが今の自分にできる一番重要なことです。試合に復帰したら、強みのキャリーやモールコントロール力など、今のチームに足りないものを全部持っていきたい。そんな選手になりたいなと思います。」

優しい声で、仲間の頑張りと自身の役責を冷静に分析した。

今季チームが定めたスローガンは『加速』。

一つひとつのスピードを上げること。そして最終的には一番速いスピードで、去年のチームを超えていきたい。そう願いを込めた。

2年生17人、1年生15人。決して多くはない人数だが、その分団結力を高めるスピードは加速していく。

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