5位
天理
誰よりも泥だらけになり、誰よりも体を張る選手がいる。
「最上級生になってから、急激に力強くなりました」と松隈孝照監督も太鼓判を押す、2番・内田涼キャプテンだ。
「主将になってから、本当にプレーが急激に良くなって。うちらしい子、天理らしい子」と松隈監督は讃えた。
そんな天理らしいキャプテンが率いる今年のチーム、今大会での成長は「ディフェンス力」だと松隈監督は振り返る。
「(予選トーナメントで戦った)ヒガシにはもっと行かれると思った」というが、東福岡のアタックを前に進めなかった強靭な接点を見せた。
残念ながら得失点差で最上位トーナメントに進出できなかった天理。
「うちにはまだ取り切る力がないので、ディフェンスしかない。だから、どこと対戦しても接戦なんです。(松隈監督)」
地に足のついたディフェンス力を武器に、攻撃力を身に着ける夏へと向かっていく。
6位
慶應義塾
予選会を勝ち抜き、手にした出場権。
だからこそ「楽しむこと。8泊9日で5試合を戦うエネルギーを準備して、どの相手からも学ぶこと(和田康二監督)」を大前提に、慶應義塾の選手たちはここ福岡・宗像市までやってきた。
チームを率いる脇龍之介キャプテン(12番)が感じたチームの成長ポイントは、粘り強さにある。
「先制トライを取られても、粘って自分たちのターンを待つメンタル的な成長を感じました。」
ニュージーランドのネイピア、オーストラリアのダウンランズ。日本よりも強くて大きな相手を前にしても「連携を意識し、2人で止めることができた」と及第点を与えた。
「海外の選手たちは、強さはもちろん、手の長さや背の高さも違います。そういう経験を肌で感じることが、大きな経験だったと思います。(和田監督)」
もちろん、国内チームとの対戦でも成長は数字として表れる。
昨年度の花園ベスト4である天理を相手にした5位決定戦では、シーソーゲームを演じた。一つひとつの基本的なプレーを遂行する中で、生まれたチャンスを活かしきった5試合だった。
「選手たちも実感していると思います。こうしたら勝てる、こうしたら上手くいかない。強い相手と戦うことで、そういう学びを得ているのではないでしょうか。(和田監督)」
7位
ダウンランズ カレッジ(AUS)
参加した選手たち
「とても楽しい時間を過ごしました。みんながみんなとても良い方々で、快く受け入れてくださっていることを実感しました。
ラグビー面では、僕たちが今何をしなければいけないかを理解できた大会でした。間違いなく、日本のラグビースタイルから多くのことを学んでいます。
日本は本当にハードでタフでフィジカルなチームばかり。どこの国との対戦よりも、日本が一番、フィジカルが強いと感じました。
それは絶対に諦めない精神からきているのかもしれません。最後の1秒、1センチまで絶対に諦めない姿勢にとても苦しめられました。
僕たち自身、本当に学ぶことが多かったと感じます。」
8位
報徳学園
予選リーグ最終戦。佐賀工業との試合を終えた直後、西條裕朗監督は選手たちに一つの問いを投げかけた。
「接点でゼーゼーハーハーしたか。」
ラグビーとは、自制心と闘争心のバランス。闘争心は、どこにあったのか。
中1日あけた順位決定トーナメント1回戦。
天理を相手に迎えると、厳しい接点の連続が繰り返された。
2点差で敗れはしたが「今日は接点で勝負できた。後半の後半で体を張れるようになったかな」と西條監督は選手たちを讃えた。
「こういう試合を繰り返さないと、成長はできません。強い相手と試合をした、経験値が大事になります。」
高校生は1日で変わる、というメンタリティを常に100%で出せるよう、今年のチーム作りは続いていく。
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「今年は3年生全員がリーダーシップを発揮していこう、という話をしていたので、良い機会になっていると思います。」
そう話すは、菊川迪キャプテン。生まれた年月日の縛りがあり、今大会は選手登録が叶わなかったことをポジティブに捉えた。
「(天理戦では)相手のミスに助けられた所もありましたが、佐賀工業戦よりは体も張れていた。それでもまだまだだと思っています。」
普段声を出している菊川キャプテンがいない分、周りの選手たちは声を出せるようになった。
だが体が小さい分、もっとフィットネスを強化して体を当てないと、上のレベルで勝負はできない。
だから兵庫に帰ったら、まずはそこを求めて鍛錬を積みたい、と士気を高めた。
順位決定トーナメントの前夜に合流し、最後の2試合はウォーターとして仲間を支えた