キックオフの、およそ85分前。
試合会場に到着したU20日本代表を拍手で迎えたのは、入場待機列に並ぶ大勢のラグビーファンだった。
大学3年生は、高校日本代表活動が一切なかった世代。
主力である大学2年生は、高校日本代表候補としてエキシビションマッチを無観客で行った世代。
日本で、日本のラグビーファンの前で桜のジャージを着るのは、これが初めてだった。
試合前練習を終えるとキャプテンを先頭に逆V字を作り、それぞれが前の人の肩に手を当てロッカーへと戻る。
フル代表と同じその姿は、1年前、エコパスタジアムで行われた高校日本代表候補エキシビションマッチを彷彿とさせた。
あの頃よりも逞しく、精悍な顔つきになった面々は、自信に満ちた表情でキックオフを迎えた。
NZUが披露したハカでは、大町キャプテンを中心に逆V字の陣形を作った。サモア遠征から続くそのスタイルは「相手の文化をリスペクトし、僕たちも闘志を見せるため」だという
試合展開
前半
NZUボールでキックオフを迎えると、フィジカルの強いNZUがまずは食い込む。
スクラムから逆サイドのウイング、ジェレマイア・アシ選手が左サイドを走れば、トライ。
先制を許した。
U20日本代表は、続くキックオフから反撃を開始。
リスタートキックオフでノックオンを誘うと、マイボールスクラムでペナルティを獲得する。
敵陣5mで組んだモール、一度はターンオーバーを許したが、すぐさまブレイクダウンでジャッカルを決めた日本。
再び5mラインアウトからモールでチャレンジし、機を見てバックスに開けば中央で13番・平翔太選手が走り込んだ。
「相手のディフェンスがボールウォッチばかりしていた。外から鋭角に入ったら、いけると思った。(平選手)」
10番・楢本幹志朗選手のコンバージョンゴールも成功し、7-5。
前半12分、U20日本代表が2点のリードを得た。
しかしすぐさまブレイクダウンでペナルティで奪い返したNZUは、PGを選択。
10番ブレア・マレー選手がしっかりと沈めれば、7-8。再びNZUの1点リードへと変わった。
流れを明け渡したくないU20日本代表は、前半18分。
マイボールラインアウトからバックスで繋ぐと、飛ばしパスを受け取った15番・大町佳生キャプテンからボールを受け取ったのは14番・御池蓮二選手。
あっという間にグラウンドの右端を駆け上がれば、独走トライ。
14-8、再び日本がポイントを先行した。
ジャパンはディフェンスでも体を張る。
ダブルタックルでプレッシャーを掛け、相手のハンドリングミスを誘った。
そして、ディフェンスで得た攻撃チャンスを活かしきる。
マイボールスクラムからFB大町キャプテンが裏にボールを蹴り上げたが、確保したのはNZU。
そのままカウンターを狙うNZUだったが、寄りの速い日本のディフェンスにたまらずオフロードを放ると、すっと体を伸ばしたのは9番・土永旭選手。
ボールが手に入った瞬間、左サイドを勢いよく駆け上がれば、ターンオーバーからの独走トライを決めた。
前半25分、U20日本代表が21-8とリードを広げる。
だが、相手は体格でも経験値でも、年齢でも上回るNZU。
前半ラスト10分で、フェーズを重ねたトライに、モールトライ。
2トライ連続で許せば、あっという間にスコアは21-20。
U20日本代表が僅か1点のリードで前半を折り返した。