そうして迎えた、Aブロック決勝戦。
相手は、関東新人大会と全国選抜大会でおよそ50点差をつけられ敗れた桐蔭学園だった。
「春の選抜大会で桐蔭学園さんは日本一になられた。僕たちはずっとチャレンジャー。だから今日は、勝つというよりもチャレンジの気持ちで挑みました。(小倉キャプテン)」
試合は、少ない決定機を争うロースコアの展開となる。
まずは前半13分、ラインアウトモールからサイドを突いたのは、桐蔭学園3番・前田麟太朗選手。先制トライを許した。
7点を先行された6分後、國學院栃木はロングキックから反撃の狼煙を上げる。
敵陣5mでマイボールラインアウトのチャンスを得ると、モールを組んだ後にオープンサイドへボールを開き、バックスの連携から最後は14番・永沢拓夢選手がインゴールに飛び込んだ。
7-7。
同点で、前半を折り返す。
しかし後半開始早々、先制パンチをくらった。
後半4分、ラインアウトモールから桐蔭学園2番・川口翔大選手がグラウンディングすると、その差は再び7点に開く。
ともすれば、相手に流れを明け渡してしまいそうな場面。これまでの2戦は、ここで一気にゲームを持っていかれた。
だから國學院栃木は円陣を組み、互いに声を掛け合う。人一倍大きな声を発したのは、やはり小倉キャプテンだった。
「相手は日本一だ。もう一回、行くぞ。」
今日は3トライは取られてもいい。だからチャレンジして、アタックしよう。そう決めて臨んだ一戦だったからこそ「まだ2トライしか取られていない。前向きに、どんどん攻めていこう」という言葉に繋がった。
その後、何度も攻め込まれた。
だがその度に刺さったタックル。誰かひとり、ではなく全員が役目を果たした。
トライチャンスもいくつか手にしたが、決め切ることはできず。
最終スコアは14-7。桐蔭学園が、4年ぶりに関東チャンピオンの座を手にした。
50点差が7点差まで縮まったことについて「前を向いていいのではないか」とポジティブな感想を残した小倉キャプテン。
2月の関東新人大会、3月の選抜大会を経て、6月の関東大会で強くたくましく飛躍した。
それでも、負けは負け。悔しいものは悔しい。
「試合の後、みんな泣いていました」と小倉キャプテンは言う。悔しくて、涙が出た。勝ちたくて勝ちたくて、涙が出たのだという。
2番・小田木教斉選手は7-7と同点の場面、自陣5m相手ボールラインアウト直前のタイミングで無念にも負傷交代となった。
タッチラインの外にようやく出ると、そのまま座り込み大粒の涙を流す。
「もっと出たかった、って。(小倉キャプテン)」
コーチに肩を抱かれる小田木選手を、そっと横目で見やった小倉キャプテンは覚悟を決めた。
「出たくても出られない仲間がいる。今グラウンドに立っている15人全員で、仲間のために頑張ろう。」
現在、部員数は115名。
ジャージを着る、覚悟を身につけた大会となった。
まだ寒さ厳しい晩冬の頃から、課題はアタックだと認識していた。
この日もラインアウトが不調。決定機で決め切れないシーンは多くあった。
「大まかなことはできるようになってきた。これからはディティールを中心に、花園に向けて練習していきたいと思います。(小倉キャプテン)」
細部を突き詰める、夏へと向かう。
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