ミスしても構わない。だから、全員で励まし合って。國學院栃木が流した涙は「勝ちたかった」から|第71回関東高等学校ラグビーフットボール大会

そうして迎えた、Aブロック決勝戦。

相手は、関東新人大会と全国選抜大会でおよそ50点差をつけられ敗れた桐蔭学園だった。

「春の選抜大会で桐蔭学園さんは日本一になられた。僕たちはずっとチャレンジャー。だから今日は、勝つというよりもチャレンジの気持ちで挑みました。(小倉キャプテン)」

試合は、少ない決定機を争うロースコアの展開となる。

まずは前半13分、ラインアウトモールからサイドを突いたのは、桐蔭学園3番・前田麟太朗選手。先制トライを許した。

7点を先行された6分後、國學院栃木はロングキックから反撃の狼煙を上げる。

敵陣5mでマイボールラインアウトのチャンスを得ると、モールを組んだ後にオープンサイドへボールを開き、バックスの連携から最後は14番・永沢拓夢選手がインゴールに飛び込んだ。

7-7。

同点で、前半を折り返す。

しかし後半開始早々、先制パンチをくらった。

後半4分、ラインアウトモールから桐蔭学園2番・川口翔大選手がグラウンディングすると、その差は再び7点に開く。

ともすれば、相手に流れを明け渡してしまいそうな場面。これまでの2戦は、ここで一気にゲームを持っていかれた。

だから國學院栃木は円陣を組み、互いに声を掛け合う。人一倍大きな声を発したのは、やはり小倉キャプテンだった。

「相手は日本一だ。もう一回、行くぞ。」

今日は3トライは取られてもいい。だからチャレンジして、アタックしよう。そう決めて臨んだ一戦だったからこそ「まだ2トライしか取られていない。前向きに、どんどん攻めていこう」という言葉に繋がった。

スポンサーリンク

その後、何度も攻め込まれた。

だがその度に刺さったタックル。誰かひとり、ではなく全員が役目を果たした。

トライチャンスもいくつか手にしたが、決め切ることはできず。

最終スコアは14-7。桐蔭学園が、4年ぶりに関東チャンピオンの座を手にした。

50点差が7点差まで縮まったことについて「前を向いていいのではないか」とポジティブな感想を残した小倉キャプテン。

2月の関東新人大会、3月の選抜大会を経て、6月の関東大会で強くたくましく飛躍した。

それでも、負けは負け。悔しいものは悔しい。

「試合の後、みんな泣いていました」と小倉キャプテンは言う。悔しくて、涙が出た。勝ちたくて勝ちたくて、涙が出たのだという。

2番・小田木教斉選手は7-7と同点の場面、自陣5m相手ボールラインアウト直前のタイミングで無念にも負傷交代となった。

タッチラインの外にようやく出ると、そのまま座り込み大粒の涙を流す。

「もっと出たかった、って。(小倉キャプテン)」

コーチに肩を抱かれる小田木選手を、そっと横目で見やった小倉キャプテンは覚悟を決めた。

「出たくても出られない仲間がいる。今グラウンドに立っている15人全員で、仲間のために頑張ろう。」

現在、部員数は115名。

ジャージを着る、覚悟を身につけた大会となった。

スポンサーリンク

まだ寒さ厳しい晩冬の頃から、課題はアタックだと認識していた。

この日もラインアウトが不調。決定機で決め切れないシーンは多くあった。

「大まかなことはできるようになってきた。これからはディティールを中心に、花園に向けて練習していきたいと思います。(小倉キャプテン)」

細部を突き詰める、夏へと向かう。

&rugbyを応援する

スポンサーリンク