ピッチ上の30人の中で、誰よりも。「夏、日本で一番キツいことをします」|流経大柏|第71回関東高等学校ラグビーフットボール大会

2年続けてのカードとなった、関東高等学校ラグビーフットボール大会Aブロック1回戦。

千葉県1位の流通経済大学付属柏高等学校は、栃木県1位・國學院大學栃木高等学校と対戦した。

流経大柏にとっては、昨年逆転勝ちを収めた相手。

今年も同じく、僅かな差を追いかける展開に1年前の記憶がよぎった。

試合を分けたのは、1つのプレー。試合終盤のラインアウトだった。

敵陣深くでマイボールラインアウトのチャンスを得た流経大柏は、危なげなくボールを獲得すると、モールを組む体制へと移る。

しかし相手はコンテストせず。モールが組まれないまま、ラインアウトは解消した。

思わず勢いよく前進してしまうと、吹かれた笛は流経大柏の反則。フライングウェッジを取られた。

「怖くてやりにくいことを、國學院栃木の選手は選択した。だから栃木は褒められるべき。うちは、それを想定していなかった。」

試合後、「あれが全てだった」と話したのは相亮太監督。

「あれが全国トップ4の実力です。」

ラグビー人として、相手を讃えた。

2月に行われた関東新人大会では、チームが始動して間もなくだったこともあり、未完成なプレーも多かった。

あれから4か月。強度は格段に上がり、意志の感じられるラグビーへと進化した姿に、日々の練習量を想像する。

「Aブロックらしく、見ていて面白い内容じゃないと関東が笑われちゃうから。」

今年は茗溪も強いし、栃木も強い。そして桐蔭がリードしてくれている。うちもなんとか頑張って、追いつけるように頑張りたい。

相監督は、そっと呟いた。

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この日、ひと際力強い走りを見せたプレイヤーがいる。

13番・阿部煌生選手。

1年次から花園に出場していたエースは、自身の役割を「ランでゲインメーターを稼ぐこと」と認識して挑んだ。

「ピッチにいる30人の中で、誰にも負けない。とにかく練習から、そう意識しています。」

強さの源は、ピッチサイドから聞こえた多くの仲間の応援歌。

「本当に。応援してもらえると、頑張れます。」

勝ちたい、という気持ちも大きくなった。

「僕たちはチャレンジャー。だから自分たちのやることを徹底しよう、と試合に挑みました。」

そう話したのは、SH三田村喜斗キャプテン。

相手スクラムハーフからのコンテストキックに対し、チームとして準備はしていた。

だがそれでもミスは起き、相手ペースになってしまったことを悔やんだ。

関東大会に参加するにあたり、相監督が選手に求めたことがある。

自分たちは、何を手に入れたいのか。

「夏、全勝して帰ってくるためには、今日何を得るのかということが大事でした。(相監督)」

狙いの半分は手にすることが出来た。だが「残りの半分、大きな課題を最後の最後にもらった感じがします」と総括する。

強くなりますね、と相監督へ伝えると、強くなれますね、と返した。

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三田村キャプテンは静かに誓った。

「夏、日本で一番キツいことをして、日本一に向かっていきます。」

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