佐賀工業、掴んだ初の日本一「自分がヒーローになろうとせず、チームに徹した」|第10回全国高等学校7人制ラグビーフットボール大会

長野県上田市菅平高原・サニアパークにて行われた、第10回全国高等学校7人制ラグビーフットボール大会。

大会3日目となる7月17日(月)には決勝戦が行われ、佐賀県立佐賀工業高等学校の初優勝で幕を下ろした。

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準決勝 vs茗溪学園

佐賀工業にとって、同大会初めての準決勝。

相手は、予選プールで東福岡を下しカップトーナメント進出を決めた茗溪学園。

だが、プレッシャーはなかった。

ここまで来たからには、優勝したい。その気持ちの方が勝った。

「茗溪さんという強い相手に対して、しっかり勝ち切って。自分たちに自信をつけて、決勝に行こう。」

前夜に行われたミーティングで、大和哲将キャプテンはそう仲間に伝えた。

自分たちが茗溪学園の強みをしっかり理解して、その強みを出させないように。

抜かれていくのであれば、外を抜かれよう。

根気強くディフェンスし、思い切ったアタックをしよう。

「イケイケになれば通用するから大丈夫。」

枝吉巨樹監督も、選手たちを信じた。

ゲームプランはこうだ。

3人組を作って、常にアタックをし続ける。茗溪学園に対してコンタクトで勝っていく。

ディフェンス面では、ボールを動かし仕掛ける相手ランナーの強みを消すために、前に上がって横と連携しながら2人で止める。

「僕たちのラグビーの強みは、ボールを継続し続けること。(大和キャプテン)」

選手たちは前日ミーティング通り、しっかりとプランを遂行した。

「今日はきっちり、みんなが自分たちのやりたかったことをやっていましたね。安心して試合を見ていられました。(枝吉監督)」

良い感触を掴み、決勝戦を迎えた。

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決勝戦 vs桐蔭学園

「絶対に優勝して、初めて佐賀工が日本一を獲れた、と言えるように。胸を張って佐賀に帰れるように、決勝戦も頑張ります。」

決勝戦のキックオフまで、およそ1時間半ほど前のこと。

大和哲将キャプテンは、勝負の14分間に向け覚悟を示した。

枝吉監督も「楽しんで」と最後に声を掛け、選手たちを送り出す。

服部亮太選手のトライで先制した。

大和哲将キャプテンも追加のトライを決めれば、桐蔭学園を突き放す。

その後一時は5点差まで迫られたが、ラスト2分間で2トライを重ね勝負を決める。

31-14。ダブルスコアをつけた。

ノーサイドの笛が鳴ると、ピッチに立つ選手数人はその場で仰向けになった。

毎日の練習量は、およそ4時間。

それだけの練習を重ねている選手たちであっても、厳しい戦いだった。

すべてを出し切った。

大和キャプテンは言う。

「シンプルに嬉しい。日本一を獲って、みんなで『やったー!』と喜べていることが本当に嬉しい。もうそれだけ、です。」

喜びを嚙み締めた。

実は大会前に右足を負傷し、大会序盤は出場時間をコントロールしながら過ごした3日間だった。

自身がプレーできない時間があったからこそ、『チームメイト』『みんな』という言葉にもひと際愛情が込もる。

「チームメイト一人ひとりが、自分がヒーローになろうとせずにチームに徹したからこそこの結果が生まれたと思う。花園に向けて、チーム一丸日本一を目指していきます。(大和キャプテン)」

宣言通り。

全国制覇を手土産に、胸を張って佐賀へと帰る。

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***

カップトーナメントMVPを受賞したのは、服部亮太選手。

力強い仕掛けとフィニッシュで、トライはもちろん、チームの核となりボールを動かした。

その力強さはどこからやってきたのか、と問えば、監督や総監督、そしてコーチ陣の名前を次々に挙げ「技術を相当、相当教えてくれました」と『相当』を強調した。

1年前の同大会では、まだまだ線の細さが目立った服部選手。

だが今年は肉付きが増し、公式記録では体重が70㎏から76㎏へと増加した。

「フィジカルを強化して自信がついたこと。そこにプラスして、スキルが身についたこと」が力強さの源となった。

納得のカップトーナメントMVPだった。

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