7月28日(金)から30日(日)まで、長野県上田市菅平高原・サニアパークにて行われた、KOBELCO CUP 2023 第19回全国高等学校合同チームラグビーフットボール大会。
前年度王者のU17九州ブロック代表は、決勝リーグをカップ3位で終えた。
決勝リーグ最初のキックオフを迎える、およそ30分前。
ウォーミングアップ開始前に全員で大きな円陣を作ると、U17九州ブロックの22人は大きな声を響かせた。
「もっ、もり、もりあっ、盛り上がりが足りないぞ!」
そのフレーズを何度か繰り返しながら、笑顔を咲かせる。
『盛り上がりが足りない』のコールを始めたきっかけは、前日朝に行われたミーティングだった。
U17九州ブロックでは、チームを4つに分けそれぞれが役割を担う。
リーダー陣、コンディション担当、そして、盛り上げ班。
このコールは「盛り上げ団長が考えたゲーム」だったという。様々なスポーツで応援歌として採用されているものを、チームの盛り上げにと取り入れた。
勝ち上がりはしたが、苦しい戦いだった予選リーグ。
だからこれで雰囲気が変わるか、と思われた。
しかし。
決勝リーグ1試合目のU17関東ブロック戦で、らしくない姿は続く。
自分たちがやりたかったことを先に相手にやられてしまい、チャンスエリアでのミスも重なった。
「出足で関東にプレッシャーを掛けられてしまったことが響きました。(松井裕平監督、福岡工業高校)」
試合後半に見せた、素早く敵陣に入り込んでのFWプレー。これを最初からやりたかった。
続くU17近畿ブロックとの一戦も、7-36で敗れる。この時点で、連覇の夢は絶たれた。
「瓜生キャプテンを勝たせたかったです。」
負傷退場したNo.8瓜生丈仁キャプテン(小倉高校)に代わり、インタビューに応じたCTB梁瀬拓斗バイスキャプテン(東福岡高校)は、悔しそうに紡いだ。
現地入りし、30分程度のチームランしか合わせる時間が取れなかったこと。
セットプレー、特にラインアウトが上手くいかなかったこと。
「コンバインドチームの難しさを感じました。」
影の立役者への感謝も忘れなかった。
「(東福岡高校の1学年上である)利守晴くんに、近畿と関東の情報を伝え研究してもらったんです。アドバイスをもらって今日に挑みました。普段からかわいがってもらっている先輩に力を貸してもらったからこそ、勝ち切ることができなくて悔しいです。」
利守選手は、優勝を果たしたU17九州ブロックの昨年度メンバー。
出来ることは全てやり、オール九州で勝ちだけを目指していた。
ジャッカルされた直後に見せた、お返しとばかりの瓜生キャプテンのジャッカル。
0-19と離された後半、「イサ(CTB深田衣咲、東福岡高校)、楽しめよ!やりがいあんで!」とベンチから声を掛けたのはSO黒坂薫平選手(東福岡高校)だった。
LO糸山結大選手(筑紫高校)は、エナジー係如く誰よりも大きな声でチームを鼓舞する。
「瓜生キャプテンを全国1位にできなくて悔しかった。ですが、このチームでプレーできたことは楽しかったです。(梁瀬バイスキャプテン)」
一夏で得た、悔しいと楽しいの実体験が、これから盛りに向かうラグビーシーズンへの原動力となることを願う。