『楽しいラグビー』を見せた栃木県と『原点回帰』した神奈川県が本国体への出場権を獲得|特別国民体育大会関東ブロック大会<少年男子>

栃木県×東京都

栃木県:緑ジャージー、東京都:紫ジャージー

栃木県は、國學院栃木高校の単独チームで。東京都代表は複数校から成るコンバインドチームで挑む、国体関東ブロック。

先制トライは、栃木県だった。

試合開始6分で3本ものキックパスを蹴り込むと、プレーエリアを敵陣に移す。鮮烈なキックチャージを起点に、13番・西本壮選手(國學院栃木高校)がファーストトライを取り切った。

自らでコンバージョンゴールを成功させ、前半10分、7-0とする。

対する東京都は、続くキックオフから反撃に出る。

ラインアウトからボールを受けると、一気にラインブレイク。ゴール前までたどり着けば、FW戦へと移行した。一度はヘルドアップになったが、相手のゴールラインドロップアウトボールを獲得すれば再び攻め込んだ。

ハイタックルのペナルティが栃木県に課されると、東京都は敵陣5mでのラインアウトを選択。モールが組み切れずラックになると、開いたすぐのパスで6番・小田部晃太選手(國學院久我山高校)が押し込んだ。

コンバージョンゴールも成功し、7-7。前半15分、同点に戻した。

取られたら取り返す、前半の25分間。

続くは、栃木県が縦に横にと自在にボールを動かす。

左サイドからのキックパスをキャッチしたのは10番・神尾樹凛選手(國學院栃木高校)。

今度は12番・福田正武選手(國學院栃木高校)が左サイドに向けてボールを蹴り上げれば、受け取るは11番・福田恒秀道選手(國學院栃木高校)。

スペースに走り込み、そのままトライを奪った。

一方の東京都は、サイズのあるFWを武器にモール戦を狙う。

敵陣深くでのラインアウトからモールを組み、最後はモールサイドを走り込んでトライ。

14-14。同点で前半を折り返した。

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両チームともに先手を取りたい、後半のキックオフ。

先制パンチを見舞ったのは栃木県だった。

キックオフボールをキャッチした東京都の選手に思いっきりプレッシャーを掛ければ、ボールを乱れさせる。

ルーズボールを確保し一気にワイド展開を図れば、右に左にと振り返しながら相手のディフェンスラインの隙を狙った。

最後は左大外への飛ばしパスから、11番・福田恒秀道選手が2トライ目。

1年生ウイングが躍動し、栃木県が21-14と再びのリードを手にする。

その後も栃木県が主導権を握りながらゲームは続く。

ゴール前で5分ほどFWが粘りながら、最後はアドバンテージが提示された瞬間に12番・福田正武選手が裏への絶妙なグラバーキックを披露。

そこに走り込むは、14番・齊藤省太選手。美しいトライを奪った。

対する東京都は、後半苦しい時間が続いた。

「トウキョウのプライド見せどころ!」

「笑顔えがお!最後まで楽しく!」と士気を上げる声は途切れなかったが、しかし最後は栃木県にPGを決められ、ノーサイド。

29-14、随所でかみ合った攻撃力を見せた栃木県が、本国体への出場権を勝ち取った。

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見ている人がファンになるような楽しいラグビーを

「國栃ラグビー部員115人の中で選ばれた23人。その誇りを感じました。」

試合後、栃木県・吉岡肇監督(國學院栃木高校)は笑顔で選手たちを見やった。

1回戦の埼玉県戦では、苦戦した。後半序盤にリードを奪われる展開に、選手たちからも「負けたら終わり」という声が響いたほどだった。

だから「昨晩のミーティングでは、2試合連続で調子が良いことも、悪いこともないんだと伝えました。今度はこっちの番なんだ、と。」

まずは気持ちで上回る。その手立てを用意した。

そしてこの日は随所に繰り広げられたワイド展開に、キックパス。アタック力強化を掲げスタートした今年のチームが、半年間掛けて磨き上げた『今年のコクトチ』を披露した。

「見ている人がファンになるような、『國栃の試合を見に行こうぜ』となるようなチームを目指してきました。今日は本当に楽しいラグビーをやってくれました。(吉岡監督)」

ナイスゲームをしてくれました、と続けた。

この日2本のキックパスでトライをアシストした12番・福田正武選手は「だんだん自分たちの形が分かってきた」と明るい表情を見せる。

「外側に、1対1に強い選手がいっぱいいる。余った時にはしっかりとそこにボールを運ぶこと、自分でも常に縦突破を狙うように意識しています。」

攻撃の起点となることも多い12番として、そして最上級生として。チームの核になる覚悟を見せた。

「鹿児島では、いろんな強豪校と試合ができるチャンス。ここでしっかりと結果を残して、勢いを得たまま花園に向かえるように頑張りたい」と本国体へ向けた意気込みを語った。

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