『楽しいラグビー』を見せた栃木県と『原点回帰』した神奈川県が本国体への出場権を獲得|特別国民体育大会関東ブロック大会<少年男子>

神奈川県×千葉都

神奈川県:青ジャージー、千葉県:黄ジャージー
神奈川県が圧倒した。
モールを押し、先制トライを奪ったのは前半2分。
前半10分には10番・萩井耀司選手(桐蔭学園高校)がドロップゴールを沈め、10点をリードした。
千葉県が反撃に出たのは前半20分。ハイボールキャッチにプレッシャーを掛けると、ノックオンを誘った。
ターンオーバーし一気に攻撃を畳みかければ、最後は左サイドで阿部煌生選手(流経大柏高校)が駆け抜ける。
10-5、千葉県が5点を返した。
しかしその後、2つのトライを追加したのは神奈川県。
1番・井吹勇吾選手(桐蔭学園高校)のラインブレイクからそのまま決めきったトライに、6番・神﨑朝飛選手(日大藤沢高校)のトライ。
22-5と神奈川県の17点リードで、前半を折り返した。
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後半も終始、神奈川県が主導権を握る。
重ねたトライはなんと6つ。
ボールを持てば、とにかく縦に。FWもバックスも縦に当たりながら、随所でキックを活用しエリアを押し上げた。
ディフェンスでは、人数をかけるブレイクダウンへのスピードと集中力が相手を大きく上回る。
ものの数秒でターンオーバーし、そのままトライに結びつけたシーンもあった。
14番・平野仁選手(法政第二高校)がビッグタックルで相手のペナルティを誘えば、抱き着いたのは13番・白井瑛人選手(桐蔭学園高校)。
オール神奈川として強さを見せつけた神奈川県が、本国体への出場権を掴んだ。
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原点回帰

今春日本一を掴んだ桐蔭学園の選手を主軸に、東海大相模、法政第二、日大藤沢、日本大学の選手4名を加えたコンバインドチームで挑んだ神奈川県。

初戦となった大会1日目の茨城県戦では、全く体を当てることができなかった。

ノータイムまで、なんとビハインド。ラストワンプレーとなった相手ボールスクラムでペナルティを奪い、そこから何とか逆転トライへと結びつけたのだった。
「自チームから離れたことで、重圧から解放され緩い空気が続いていた」と話すは、ゲームメイクを担ったSO萩井耀司選手。「最初のプレーがノックオンから始まってしまったんです。バックスもFWも体を当てられず、ミスミスミスで試合が終わってしまいました。」

オール神奈川の指揮を執って6年目、浜倉裕也監督(湘南工科大学付属高校)も「自分たちが思い描くラグビーとは遠くかけ離れていた」と振り返る。

だから茨城県戦後、キャプテンの城央祐選手(桐蔭学園高校)とバイスキャプテンの白井瑛人選手(桐蔭学園高校)は、ある覚悟を示した。
「このままのぬるい空気だとまずいと思って、桐蔭学園でいつも試合前にやっているコンタクト練習をさせて欲しい、とお願いしました。(城キャプテン)」
中1日の練習では、そのコンタクト練習のみ。バチバチに体を当て、気持ちを切り替え、ミーティングもまとめ上げた。

大会最終日、千葉県戦で掲げたテーマはただ一つ。
『体を当て続ける』。原点へと立ち返った。
「FWの縦縦に、バックスの縦。とにかく縦のサインでした」とは萩井選手。
浜倉監督も「今日は難しく考えないで『体を当てよう』ということだけにフォーカスしました。そこが彼らの強みであると本人たちも分かっているので、その強みを全面に出せたからこそ落ち着いてプレーできたのかな」と理解する。
試合を通して体を当て続けることができた結果、スタンドオフ萩井選手とフルバック吉田晃己選手のスペースを突いたキックも有効に働いた。
相手がゴールラインドロップアウトで蹴ったボールをそのままドロップゴールで蹴り返したのは、萩井選手。
「全国選抜大会が終わってから、僕と(フルバックの吉田)晃己はずっとドロップゴールを狙っていたんです。でも全部外していて。今日の試合、やっと入りました」と笑顔を見せた。
人生初のドロップゴールで、チームに勢いをもたらした。
ここ数年桐蔭学園として国体に参加していない中で迎えた、桐蔭学園を主とする今年のオール神奈川。
「他校の選手たちが、桐蔭学園のスタンダードに合わせようと努力してくれていたことがすごく嬉しいです」と城キャプテンは感謝した。
だからこそ、本国体に出場するからにはプライドを持って、神奈川県として日本一を獲れるように頑張りたい。
「本国体では、一番上に行くために練習をして、コミュニケーションを取って、チームとして鹿児島に乗り込みたいと思います。(浜倉監督)」
困った時には、立ち返る場所がある。強い神奈川県が、本国体へと挑む。
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