私たちが1年間、所沢北高校で3年生として進んでこられた意味を、来年に託したい|正智深谷×所沢北|第103回全国高等学校ラグビーフットボール大会埼玉県予選 1回戦

試合内容

正智深谷:グレー緑ジャージー、所沢北:エンジジャージー

正智深谷高校 17 – 12 所沢北高校

キックオフキャッチから攻めたのは所沢北。スタンドオフがブレイクすると、リモールを仕掛ける。アドバンテージを持ちながらアタックを続ければ、一気に敵陣5mへ。ラインアウトモールからFW戦へと移行したが、しかし押し込み切れなかった。

攻撃権は正智深谷へと移る。

前半も半分を過ぎた頃、危険なタックルにより所沢北のNo.8にレッドカードが与えられた。

数的不利になった所沢北。自陣ゴール前でのディフェンスになると、インサイドセンターは「バックス、さぼるなよ」と声を掛けた。

だが正智深谷、トライを取り切る。ラインアウトモールからの2次攻撃でトライ。5点を先制した。

対する所沢北は前半終了間際にロングキックからチャンスを得ると、リモールからサイドアタックを仕掛け一気にトライを奪い返す。

5-5の同点で前半を折り返した。

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後半最初にチャンスを得たのは、前半同様所沢北だった。敵陣5mでのラインアウトから、二度攻める。

しかしボールは相手に渡り、正智深谷はそのままカウンターへ。あっという間に所沢北の陣地へ入り込めば、ゴール前でFWが押し込みトライを奪った。

勢いを掴んだ正智深谷は、自陣22mでの相手ボールスクラムをターンオーバー。そのまま左に展開すると、左ウインガーがトライ。

17-5、立て続けのトライで正智深谷がリードを広げた。

気温の高かったこの日、残り時間僅かとなると、両チームともに運動量は落ちた。

正智深谷の選手たちからは「1年!3年最後なんだぞ!頑張ってやろうよ!」と声が掛かれば、敵陣22mまで進んだ所沢北のベンチからは「ここまで来れたぞ!」と最後のパワーを与える。

敵陣深くで幾度かペナルティを得たのは、所沢北。タップキックからのリスタートを試みた。

束になって攻撃を仕掛ければ、押し込む。時間の迫っている所沢北はそのままドロップキックでコンバージョンゴールを蹴り込み成功させたが、ここでノーサイド。

17-12、正智深谷が2回戦へと進出した。

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Last 60mins ~所沢北

「あっけないな、って。」

所沢北のキャプテンを務めるロック・渡辺航多選手は、開口一番そう発した。

ベスト8を目指した1年だった。

昨年はベスト16。全力を尽くしたが、主力の怪我もあり、あと一歩が届かなかった。

今年こそは、ベスト8へ。4年ぶりに行われた開会式で、チームは熊谷ラグビー場Aグラウンドを目指す決意を新たにした。

「マネージャーも言っていたんです。『ここで走りたい』って。マネージャーも同じ気持ちだということが、嬉しかったです」。チームを率いる岡田翔監督は目を細めた。

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だが気持ちの大きさは、思わぬ方向へと進む。

バイスキャプテンを務める三井龍之介バイスキャプテンに、レッドカードが提示されたのだ。ポジションは、攻守の要であるNo.8。

しかし、渡辺キャプテンは声を大にした。「三井が抜けたから負けたとは思っていません。」

前半、そして後半、ともに序盤で攻撃権を手にしていたのは所沢北だった。だがどちらも取り切れず。勢いをつかめなかったこと、そして取り切る力を1年間かけて養えなかったこと、それこそが最もの敗因だと考えた。

花園予選までに、所沢北高校というチームを完成させられなかった。だから負けたのだ、と。

「味方のミス一本、自分のミス一本で、ラグビーって全然違うんだな、って。」

1年の終わりに、ラグビーを知った。

渡辺航多キャプテンが最後に紡いだ言葉は、未来への想い。

「私たちが1年間、所沢北高校で3年生として進んでこられた意味を、来年に託したい。」

8人の部員、そして1人のマネージャーを含めた9人の3年生たちの、高校ラグビーが終わった。

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SIDE STORY ~試合を終えて

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