魂のラグビーこそ原点。「筑紫プライド」で王者へ挑む|筑紫高校ラグビー部

11月11日(土)、博多の森陸上競技場では第103回全国高校大会福岡県予選大会・決勝戦が行われる。

決勝に駒を進めたのは、前年度全国制覇を達成した東福岡高校。そして、福岡県立筑紫高校だ。

筑紫高校ラグビー部の部員数は80名を超える。

大所帯をまとめるは、スクラムハーフの中村水飛(なかむら みなと)キャプテン。今年のオール福岡にも選ばれた経歴を有する。

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中村キャプテンがラグビーを始めたのは、まだ小学校に上がる前。しかし野球に惹かれ、まもなく手にするボールを変えた。

だが転機は訪れる。記念大会として開催された第95回全国高校ラグビーに、記念大会枠として筑紫の出場が決定した。小学4年生の時だった。

当時の筑紫高校ラグビー部監督は、中村英行氏。中村キャプテンの叔父にあたる。

「親戚みんなで花園まで応援に行きました。そこで改めて、ラグビー格好良いな、筑紫のラグビー面白いな、と思って。」

中学1年次から、再び楕円球を握った。

ラグビーがしたいからラグビーを再開したのではない。

筑紫でラグビーがしたい。だからラグビーを始めた。

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福岡県には、7度の花園優勝を誇る東福岡高校がある。絶対的王者である東福岡を倒さない限り、花園出場を叶えることはできない宿命だ。

「東福岡一強が何年も続いていて、福岡県大会の決勝戦でも大差が開いてしまうことがあります。筑紫の中でも『やっぱりヒガシには勝てないよね』っていう空気が若干あって。でも僕は、それが嫌でした。ヒガシを倒したいと思って、筑紫に入った。だから3年生になった今年、筑紫の原点に戻ろうとチームスローガンを『CHIKUSHI PRIDE』に決めました。」

魂のラグビーが筑紫の原点。そこに立ち返り、東福岡に勝って、花園に出る。

筑紫のプライドを見せる。

「春の大会では前半リードして折り返せたのに、結局東福岡にトリプルスコアをつけられてしまいました。疲労が溜まりスコアを離されてしまう後半、どれだけ自分たちを奮い立たせてラグビーができるか。そして『ブースターズ』と呼んでいるリザーブメンバーが、どれだけ勢いを与えられるか。そこにこだわって、今年の夏は取り組んできました。」

AチームだけでなくBチームも筑紫のラグビーを徹底できる強さが、最大の強みだ。

筑紫には今年、新たに加わった心強いメンバーがいる。

といってもボールは持たずに、手にするはドローンとパソコン。分析担当の1年生・塩塚悠葵(しおつか はるき)くんだ。

「元々スポーツは好きで。高校で機械を触ってみたいと思っていたので、興味を持ちました。」

中学時代はパソコン部。仲間に教える立場だったという。


ラグビー経験はゼロ。2019年のラグビーワールドカップはTVで見た

分析と一言で言っても、業務は多岐にわたる。

分析するために必要なビデオを撮ることはもちろん、多角的な視点を得るためドローンの操縦だって学ぶ。データを分析ソフトに投入し(そしてその使い方を学び)、GPSデータの数値を絡めながら分析する。

もちろんそれで終わりではなく、そこからどのようにコーチ陣や選手たちへ落とし込むのか頭を悩ませる時間が続く。

他の強豪校はもちろん、リーグワンでさえ複数人で行う仕事を、ここ筑紫ではひとり塩塚くんが担う。しかもほぼ、独学だというから驚きを隠せない。

「責任もありますが、楽しいです。楽しいことのほうが多いです。ただ困るのは、僕自身の体力があまりないこと。試合のビデオを撮っていても、何試合もひっきりなしに続くので、あまり休めなくて(笑)でもやっぱりきれいにデータがとれた時はもちろん嬉しいですし、ラグビー部のみんなと交流して仲良くなれたことは、中学時代にはなかった思い出です。」

目下の課題は、ラグビーのルールや用語を完璧に覚えること。そして、仲間のプレーの特徴や戦術を理解し、分析した結果を正しく伝えられるコミュニケーション力を高めること。

自らの分析で、チームを花園に導きたいと意気込む。

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全九州大会への出場すら叶わなかった春。福岡県4位からはじまった今年のチーム。

だが現在行われている花園予選では、準決勝で東海大福岡を35-19で突き放し、ファイナリスト入りを果たした。

今週末はいよいよ、決勝戦が行われる。

たどり着いた舞台。相手はやはり、高き壁・東福岡だ。

「自分たちの筑紫プライドをもって、絶対に勝つ。そこは絶対ぶらしません。キャプテンとしてそこは絶対に譲れない、という想いを、全員に共有して。日本一を獲りに行きたいです。(中村キャプテン)」

魂震える筑紫プライドで、必ずや60分間を戦い抜く。

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