1月28日(日)、埼玉県・熊谷ラグビー場Cグラウンドで令和5年度 埼玉県高等学校ラグビーフットボール新人大会準決勝ならびにコンソレーションが行われ、川越東と昌平が決勝に進出。
両校は2月中旬に行われる関東新人大会への出場権を獲得した。
【準決勝1】熊谷×昌平
熊谷 0 – 58 昌平
熊谷
なかなかベスト4の壁を越えられなかった昨季。
今季は一つ、大きな山を越えるという成功体験からシーズンはスタートした。
だがこの日は、昨季から主軸を務めてきた選手が多く残る昌平を相手に、思うようなアタックができない。
「チーム一丸となって戦おうとしたのですが、やっぱりぶつかる所もあった。『こう攻めたい』という人もいれば、『いやこっちを攻めたい』という意見もあった。」
試合中、意見が割れたことにキャプテンを務める3番・榊原洋太郎選手は肩を落とした。
だが横田典之監督は「新人戦ならでは」とこの状況に理解を示す。
「この強度とスピードでまだ試合をしたことがない選手たちなので、パニックにもなっていたと思う。特に前半はそういう面が見受けられました。でも後半は自分たちの時間帯も作れた。悲観することはありません。」
点差を大きく離されてしまっていたからこそ、プレー選択に迷いがあったのでは、と横田監督はおもんぱかった。
「それも経験。貴重な経験です。昨年は新人戦でベスト8に入れず、この期間に公式戦ができなかった。でも今年は、4週連続で試合ができています。」
この悔しさが、秋への原動力となる。
立派な体躯を誇る榊原キャプテンは、中学までバレーボール部。ラグビーがしたい、と熊谷高校の門をたたいた。「めちゃめちゃ楽しいです。全部楽しい」
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「ナチュラルだよなぁ」と横田監督が目を細める選手もいる。
フルバックの山口成選手。こちらも、中学まではバレーボールに打ち込んでいた。
「猿みたいにピョンピョン跳ねて、粗削りで面白い。野性味溢れて、それがアイツの良さなんです。だからあんまり型にはめないようにしようと思って。1人ああいうのがいた方が良いんだよ。いくらでも好きなだけやらせた方が、面白い。とは言っても、今日だってちゃんとやっていましたね。」
埼玉が誇るファンタジスタ山沢拓也・京平兄弟を育てた名将。
個性を活かす術を、知っている。
昌平
新チームが始動して2か月強。この間、全国の強豪校と練習試合を重ねた。
年末には奈良県の御所実業高校へと出向き、5泊6日の合宿を行う。
「相手はサニックスワールドラグビーユース交流大会2024予選会のチャンピオン。差をつけられはしましたが、チャレンジはできていた。1トライは取れたし、モールDFもできた。だからこそ『ここに勝ちたい』と思えるようにもなった」と、船戸彰監督は話す。
「いまは、全国選抜大会で強いチームと戦いたい。それだけです。強いチームと当たって、成長したい。」
今季のキャプテンは、スクラムハーフの白鳥蓮選手(2年)が務める。
例年通り、全部員からの投票で決定した。
「選ばれたからには、やるしかないと心は決まっていました。」
新チームの始動から数か月。課題も多いが、充実した日々を送っている。
「まだ静かになってしまう時や、意志がまとまりきらない時もあります。でもこのチームはみんな、仲が良いので。そこを強みにしていきたいです。」
昌平は現在、ボールを動かすラグビーへと挑戦中だ。
球出しの早いスクラムハーフ・白鳥キャプテンに、自ら仕掛けることもできるスタンドオフは小林利仁選手。速くて強いウイング・山口廉太選手をセンターにコンバートし、体は小さいがベーシックスキルが高くディフェンス力に優れるフルバック・宮本和弥選手を最後尾に据えたバックス陣でトライを取り切る。
この日奪った10トライ中9本で、バックスがスコアラーとなった。
FB宮本選手は南茨城RS出身の1年生。昨季から出場を続ける
花園出場4度を誇る昌平だが、実はこれまで新人戦で優勝したことがない。
だから「1試合1試合勝つことが目標です。今日はこういうゲームができて自信になりました。決勝戦も一つひとつ丁寧にやっていきます」と白鳥キャプテンは話す。
次戦はいよいよ決勝戦。新人戦初優勝を懸け、2年連続川越東との決勝戦に挑む。