【準決勝2】川越東×深谷
川越東 34 – 17 深谷


川越東
Aシードながら、北部3校と対戦する一番厳しい山組みとなった川越東。
1回戦は本庄第一に22-10。
準々決勝では熊谷工業に7-0。
そして準決勝では深谷に34-17のダブルスコアで勝ち切った。
「花園期間中に(当時のBチームが)練習試合をやれたことで、ここまでたどりついた。すごく頑張って戦えるチーム」と望月雅之監督は自信をのぞかせた。
この日は前キャプテンら3年生がウォーターボーイを務めた。
進路の決まっている3年生たちは、練習相手にもなっているという。
「スクラム練習する時やアタック・ディフェンス練習、コーチが来るときなどは顔を出してくれています。」
先輩がしてくれたことを、後輩に。川越東の伝統を、受け継いでいる。
昨年同様、川越東は今年も共同キャプテン制を敷いた。
FWの鈴木一ノ心選手に、バックスの水島晟仁選手。花園でも先発出場し続けた2人が、チームの先頭に立つ。
「今までは先輩に頼って、ボールをもらえばいいという感覚でした。でも新チームが始まってからは、自分がラインブレイクするんだ、自分がディフェンスをまとめるんだ、という気持ちでいます」と話したのは、この日13番で出場した水島キャプテン。
後半はいくつかゲームを崩すプレーをしてしまったことを「ほんと悔しかった」と悔やんだ。「まだ、キャプテンにはなりきれていないかな。」
「関東新人大会に出られることで、経験値が上がると思う。それが嬉しい」と話したのは、2番・鈴木キャプテン。
この日、自身は2トライ。自らがボールキャリアーとなって強引に、力強くボールを持ち込んだ。
「あんまりトライをしないタイプなのですが、久々にああいう感じを出せた」とチームの先頭に立つ意志をプレーで見せた。
現在のチームが抱える課題はスタミナ。ハードワークを「しきれていない」と鈴木キャプテンは分析する。
試合導入では緊張してしまうこと、そこからの失点も大きい。
まだ、新チームがスタートして1ヵ月にも満たない。ここから、新たな物語は始まる。
深谷
1・2学年で蔓延した学級閉鎖。
前週、鷲宮との準々決勝に登録されたメンバーは、わずか17名だった。
「前キャプテンの馬場健太たち3年生にOBたちが来て、ウォーターやボールボーイを手伝ってくれました。」
その後、月曜日に集まったラグビー部員はたった4名。火曜日にはなんと2名にまで減った。
準決勝までにはなんとか全員揃ったが、揃っただけ。「タックルやブレイクダウンなど細かな準備ができなかった」と山田久郎監督は話した。
「逆にそれでも、これだけ戦えたし先制トライをとることもできた。しっかりと準備をして鍛錬すれば、と思うことができました。」
この日掲げたテーマは『コネクト』。
ディフェンスでは横の連携、アタックを連動させようと意識した。
前週に力を貸してくれた先輩たちとの繋がりも、深谷高校にとって大切なもの。全てを繋げよう、と挑んだ。
その『コネクト』を最も体現したのが、2番・新井靖憲キャプテンだろう。
トライを取られた後の円陣では、笑顔で声を掛けた。
「めっちゃ良いアタックし続けてるじゃん、俺ら!それやり続けよう!チャレンジャー、チャレンジャー!やり続けよう!」
「ミスは気にしなくていいよ!」
必ず、笑顔で。
手を叩いて、一人ひとりの目を見て、大きな声で、前に踏み出すことのできる言葉を掛け続けた。
その姿の理由を問うと、この日自身に課した課題を明かす。
「昨年までは、セットプレー含め自分のプレーでいっぱいいっぱいでした。だから今日は試合中、一人ひとりに声を掛けることを意識しました。ほぼ全員に話し掛けることができたのではないかな、と思います。」
グラウンドの中では、絶対にみんなを引っ張る。
全員の気持ちを上げられるような存在になる。
その想いの強さは優しさとなり、グラウンド上でしかと表現された。
改善点は一つだけ、最もシンプルな言葉で。必ず、仲間を鼓舞する声を添えた
新井キャプテンは昨季、U17関東ブロック代表として出場した全国大会で、準優勝の経験を持つ。
昨季よりも上背があるように感じたが、身長は伸びていないらしい。
「もしかしたら昨年までは自信がなくて、姿勢が悪かったのかもしれないですね。それが胸を張ることで、大きく見えるようになったのかも」と山田監督は推察する。
「僕たちが言いたいことを先回りして言ってくれる。頼りがいがありますね。(山田監督)」