決勝戦は2年連続、川越東×昌平に|令和5年度 埼玉県高等学校ラグビーフットボール新人大会・準決勝

【コンソレーション2】熊谷工業×鷲宮

熊谷工業 91 – 0 鷲宮

熊谷工業:青赤白ジャージー、鷲宮:紺ジャージー
昨季から試合に出場していた選手が多く残る熊谷工業。
15番・今井大和選手(2年)がスペースある所でボールを持てばグラウンドを自在に駆け回り、1番・篠澤博斗選手(2年)は何人に絡まれても真っ直ぐに歩を進める。
スーパーエースはNo.8澁澤歩夢選手(2年)。巧みなステップとボディコントロールで、間違いなくこの日一番のラインブレイク数とゲインメーターを稼いだ。
いくつトライを重ねても、一切手を緩めることのなかった熊谷工業。
前後半あわせて15トライを数えた熊谷工業が鷲宮を圧倒し、5位決定戦へと駒を進めた。
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熊谷工業

ゲームキャプテンを務めるNo.8澁澤歩夢選手は、この日チーム最多の4トライをマーク。プレイスキッカーも担うが、体力面を考慮し、ラストクオーターは10番・萩野凌介選手(2年)へとキッカーを変更した。

「エースで4番状態。プレイスキックもタッチキックも蹴ってヘロヘロ。どこか負担を減らしてあげないと、休憩する場面がない」と、橋本大介監督は理由を説明する。

しかしその采配を事前に伝えられていなかった澁澤選手は、キッカーの交代を機に「トライしなきゃいけない」と奮起。

ビッグゲインをいくつも見せ、試合を締めるラストトライを奪った。

代が変わり、最上級生となって2か月。

澁澤選手に気持ちの変化を問うと、即答した。

「花園に出ることしか考えていません。そこに向かって、自分が引っ張りたい。」

だからこそ、この日の自身のプレーは60点と低めに見積もる。

「自分に任せられているコンバージョンキックが、全然出来ていない。花園予選では、プレイスキック100%で終わりたいです。」

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今季の熊谷工業キャプテンを務めるは、2番・小澤勇斗選手(2年)。

中学では野球部のキャプテン。高校入学後「熊谷工業といったらラグビー」とラグビーへの転向を決意した。

「キャプテンとして、練習からエナジーをもって、ずっと声を出すことを意識しています。昨年・一昨年の主将を超えることができなければ、次のレベルには行けません」と断言する。

およそ9割方ボールポゼッションを有していたであろう試合のさなかには「俺らここじゃないから、次があるから。目先の目標じゃないから」と仲間の奮起を促していた小澤キャプテン。

その意を問えば、次の高いを見据えたチーム作りをうかがわせる。

「先週川越東に負けて、みんな悔しい想いをしました。でも悔しい、という気持ちだけで終わってしまったら、このチームはそこまで。今は関東大会に1位で出場することを目標にしているので、そのためにもこの新人戦で今できる最高位の5位になることを意識しています。」

5位決定戦の相手は、浦和高校。

関東大会予選1位通過のためにも「浦和高校を圧倒して勝ちたい」。

***

好調な熊谷工業だが、先週は体調不良者が相次いだ。

スターティングメンバーの3分の2が、試合週に登校できず。一時は不戦敗も覚悟したほどだったという。

「試合当日の朝にメンバーが揃った、というだけの状態でした。」

もちろん練習はできておらず、余計に球際の脆さが露呈してしまった。

それでも、昨季県内無敗の川越東を相手に、0-7と拮抗する。実力を兼ね備えていることは確かだ。

課題はキック処理、そしてエリア取り。

2タイトル目の関東大会予選に向けて、チームは更なる成長を続ける。

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鷲宮

新チームのキャプテンを務めるは、No.8小菅隼輝選手(2年)。

「キャプテンは先生からの指名でした。なんとなく、自分かなと思っていた。先輩たちからも(自分が次期キャプテンだと)言われていました。」

昨年はU17日本代表として、埼玉県でたった一人の経験を積んだ。

キャプテン生活は、早くも3か月が過ぎた。

「ピッチの中でも私生活でも、みんなをまとめることが難しい」という。

「キャプテンとして注意しなければならない所もあるし、一緒に楽しむべきところもある。そのすみ分けが難しいです。」

17歳の率直な感想だった。

だが、プレー面では良い影響もある。

「自分が先頭に立たないと」という気持ちになった。

その最たるプレーが、前半の好機に表れる。

敵陣22m内に入った所でボールを持つと、裏へのショートパントを蹴り込んだ。

「当たっても押し負けるし、自分へのオーバー(サポートプレイヤー)もいなかった。こうなったら裏に行くしかない、と思って」と、判断の理由を話す。

だが「やっぱり相手の方が(リアクションが)早かった。」

次は、仲間との連携が課題だ。

「新人戦でベスト8に入る、という目標は達成することができたのですが、まだまだ力の差がある。次の大会までにその差を縮めていきたいと思っています。」

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