7月に『ワールドラグビー U20トロフィー2024』を控えるU20日本代表候補は、5月19日(日)からニュージーランド遠征を決行している。
現地ではNZUと練習試合を2試合行う予定だが、第1戦となる25日(土)は、スーパーラグビー・クルセイダーズ対ブルーズの前座試合として実施される予定だ。
5月中旬に千葉県内で行われた直前合宿では、元日本代表のプレイスキッカー・五郎丸歩氏がスポットコーチとして参加した。
その意図について、大久保直弥ヘッドコーチは「インターナショナルレベルで10年以上戦ってきた選手は、自分の言葉をもっている。20歳の選手たちにとっては、コーチの言葉よりもそういう人たちの言葉の方が、はるかに説得力がある」と説明した。
久しぶりに桜のマークが入ったトレーニングウェアを着た五郎丸氏も「キックは、フッカーなどと同じように専門職。自分が力になれれば」とオファーを快諾したことを明かした。
「100人いたら100通りの蹴り方がある。だから原理原則しか教えず、自分の体に合ったフォームや蹴り方をマスターしてください、というスタンス」で教えたという
道中の新幹線では、選手たちに向けた講義資料を五郎丸氏自ら作成したそうで「自分がユース世代だった頃を振り返ると、行くだけで満足していた側面がある。でもそういう時代じゃなくなった」と理由を語る。
最後には「ツアーを通じて自分が何を得たいのか。日本代表HCも見ているので、3年後のオーストラリアワールドカップに行ける可能性は十二分にある。だから諦めず、世界で結果を残して帰ってきてください」とエールを送った。
大久保直弥HC コメント
12月から(U20日本代表候補の選手たちを)見ていますが、当初は受け身の姿勢で、話を聞いているのかどうなのかも分からないような表情でした。でも経験を積むうちに少しずつ、これまで聞いたことがなかったようなワードが選手たちから出てくるようになりました。
彼らが本当に2027年のラグビーワールドカップに出たいのか、という覚悟があって初めて成立する。まずはその目標に対して自分は何をしなければいけないか、という所。考えるのは選手たちなので、こちら側はあくまでもそのヒントを与えるだけです。
今日の五郎丸のキックセッションでは、キッカーを選びましたが、自分から「やりたい」と言ってきた選手もいます。そういう意味では少しずつですが、欲が見えるようになってきた。代表になりたい、世界でやりたい、という『2027年を現実的に捉え始めてきた』という手応えはあります。
ーーパシフィック・チャレンジを通して感じた成長は
木で作られているサモアバスで移動していたのですが、みんな楽しそうに毎日キャッキャ言っていた。キツい練習をした後にみんなで歌いながら移動している姿を見て、環境の変化を全てポジティブに捉えられる人間が多いことは、世界で勝つ上でものすごく大切な要素だと思いました。
これまでの経験上、食事だったり、そういう環境だったりが苦手な人間が多い場合には、結果も良くない。それを踏まえた上で、ツアーの結果も中身もプラスに捉えていいんじゃないかなと思います。
ーー今回のNZ遠征の位置づけは
サモアで勝ったことは、もはや過去のこと。オーバーエイジの選手たちは本当にいい仕事をしてくれたので、じゃあ我々は7月にどうやって勝つのかと考えた時に、選手層の薄い部分があります。だから、これまでプレータイムが少なかった選手を底上げして、7月に臨みたいと思っています。
ーー昨年のU20チャンピオンシップに参加した、大学3年生の選手たちはいつ頃合流するのか
実は既に話がついていて、今年の本戦に参加することはなくなりました。(現在のU20日本代表候補である選手たちを)かなりハードに鍛えてきているので、いま怪我人が出たからといって新しい選手を、ということは現在のプロセスの中では考えていません。(現在候補として)いるメンバーで鍛えていこう、と思っています。
ーー直前合宿のみ参加した、大学1年生の4名の位置づけは
学年で区切るのではなく、この年代グループで成長させていかなければいけない。そういう意味では今後もしっかり(学年を)ミックスさせて、できれば7月の本戦も来年のために何人か入れたいという希望はあります。
ーー直前合宿で途中離脱した矢崎由高選手について
エディー(ジョーンズ日本代表HC)と僕の中では、今日本代表に呼ばれてもすぐに活躍できるレベルにいる。だから休養ではないですが、もう一回リコンディショニングをさせて、6月・7月に良い状態でできることを一番にと考えています。
ーーサモアでキャプテンを務めた太安善明選手も今回のNZ遠征不参加だが
状況は良くなってきていますが、NZには連れていかない。ただ7月は行く前提で、今月は休ませようとしています。直前合宿最後に行ったNECグリーンロケッツ東葛とのアタック・ディフェンス練習では、(竹之下)仁吾がゲームキャプテン。サモアでMVP級の活躍をしてくれたこと、特にボールを持っていない時の動きが本当に献身的で素晴らしかったからです。
リーダーグループとして育てていく方針もあります。誰かに依存しているチームはダメ。誰かがさぼったらダメなので、シンプルなチーム作りを進めています。
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