7月に『ワールドラグビー U20トロフィー2024』を控えるU20日本代表候補は、5月19日(日)からニュージーランド遠征を行っている。
25日(土)にはNZU(ニュージーランド学生代表)と戦い、38-66で敗戦。
第2戦は、30日(木)に行われる。
今遠征に唯一参加している、飛び級選手がいる。
立命館大学1年の田中京也選手。
当初は国内での直前合宿のみ参加する予定だったが、急遽遠征帯同が決まった。
直前合宿が始まる10日ほど前のことだった。
立命館での練習を終えると、コーチに声を掛けられる。
「U20日本代表候補合宿への参加打診が来ているぞ」
びっくりした。
「全く(の予想外)、でした。自分が行けるようなところではない、と思っていました」
青天の霹靂だった。
U20日本代表候補合宿に加わると、大久保直弥ヘッドコーチとの個人面談の機会が設けられた。
そこで伝えられたのは、高校日本代表の監督・髙橋智也氏から高い評価を得ていた、ということだった。
「髙橋監督がそのような評価をしてくださっていたことを、僕は全然知りませんでした」
自身の強みは、正確なスローイングにある。
高校日本代表として対戦したU19イタリア代表との最終戦、ラインアウト成功率はなんと100%を誇った。
高身長が並ぶイタリアの選手たちを相手にも、ミスなし。
「僕たちのミス一つで観客が沸く、アウェーの環境でした。でもそこで、100%のスローイングができた。自信になりました」
世代トップのフッカーへと、一気に駆け上がった。
U20日本代表候補合宿初日は、本人曰く「ガチガチだった」そう。
それでも、高校時代とは比べ物にならないほどのウエイト量をこなすうちに、徐々に自分の力も上がったことを実感する。
クールダウン時には、東福岡高校の1年先輩・大川虎拓郎選手が寄り添い、リラックスした表情を浮かべた。
「ヒガシの先輩たちもいっぱいいますし、何よりみんな優しくしてくれます。すごくプレーしやすい環境を作ってくれています」
大久保HCも強く背中を押す。
「1学年上の世代に加わる緊張もあると思う。失敗しても、何でもいいから思いっきりやってみろ」
熊本県出身。
小学3年生でラグビーを始めると、中学までは地元でプレーした。
高校は、強豪・東福岡へ。
「中学2年生の時に、高校の九州新人大会が熊本であったんです。その時に、東福岡の試合を見ました。ウォーミングアップが圧巻で『ここに入りたい』と思いました」
ウォーミングアップの最後にメディシンボールを投げ合う、その姿に憧れを抱いた。
大学は九州を出て、関西へ。立命館大学に進学した。
合宿中には、同級生たちからサプライズで応援動画が贈られた。
「びっくりしました。こっちに来て、リラックスできる場面も少なかったのですが、あの動画を見てだいぶリラックスできました。嬉しかったです」
ラグビーで仲間が増えること。
仲間が増えるたびに、強くなっていくこと。
多くの声援を味方にできる、大切な要素を兼ね備える。
しかしまだ、そもそもの基礎体力、筋肉量も十分ではない。
世界で戦う、その覚悟を身に着けている真っ最中。
「U20トロフィーのメンバーに選ばれたい気持ちはあります。でも、選ばれたとしても貢献できるかどうか。まずはメンバーに選ばれることを目指す前に、自分自身のレベルを上げて、フィジカルやスピードを鍛えたいです」
一歩一歩を踏みしめながら、より高い舞台へとたどりつくために。
土台を、ニュージーランドで踏み固める。