「悔しいです」
試合を終え、一言目に口にした感想は「悔しい」だった。
2024年6月29日。
リポビタンDチャレンジカップ2024 マオリ・オールブラックス戦で、帝京大学2年・森山飛翔選手はJAPAN XVの一員として国際試合に出場した。
悔しい、を紐解く。
一つ。パスミスをしたこと。
ボールをもらったチャンスを、自分のものにしたかった。
もっと早くセットして、もう少しゆっくり周りを見ることができていたら、きっともう一段階良いプレーができたのではなかろうか。
「システムのことばかりが頭に浮かんでしまい、得意のボールキャリーがゼロになってしまった」と悔やんだ。
二つ。ディフェンスの間合いを思うように詰められず、相手にトライを許したこと。
後半28分にグラウンドに入ると、最初のプレーでトライを取られた。
「あのシーンは、自分がもう少し前に出ていたら止められていました。あの7点は防げたはず。悔しいです」と振り返る。
だがこの感想は、試合後にビデオを見返して得た感情。
その時、その瞬間は「あんまり気にしていなかった」という。だが「矢崎(由高選手)が寄って来て『あんま気にすんなよ』と声を掛けてきたんです。逆に気にしました(笑)やっぱり俺のミスだったんだ、って」
気にすんなよ、が、気になった。
三つ。チームが敗れたこと。
テストマッチのキャップこそつかないが、この日は森山選手にとって、ユースの枠組みを超えた国際試合のデビュー戦。
「まずは自分のことを頑張ろう、と思っていた」からこそ、自らのプレーが相手の得点に影響を与えたことについて、一層の悔しさを感じた。
もちろん、明るい話題もある。
スクラムでコラプシングを奪った。
「今週はスクラムに力を入れてきたので、スクラムで何かしてやりたい、という気持ちでピッチに入りました」
逆サイドでのコラプシングだったというが、それでも自らの一組みでチームに好影響を与えた。
「今週の初めと比べたら、全然違うスクラムを組めています。成長を感じます」
表情は明るかった。
やるべきこと、で頭の中がいっぱいになり、過ごしたデビュー戦の12分間。
次なる目標は、明確だ。
「余裕を持ってプレーすること。そして、チームに求められている行動をし続けること」
さすれば、「ナチュラルボールキャリアー(エディー・ジョーンズHC談)」らしいプレーも見られるはずだ。