7月6日に豊田スタジアムで行われた、リポビタンDチャレンジカップ2024 マオリ・オールブラックスとの第2戦。
勝利の瞬間、16番・佐藤健次選手(早稲田大学4年)は仲間に飛びつき、喜びを全身で表した。
後半36分。
フッカーの佐藤選手は、ラインアウトへボールを投入しようと、タッチラインの外側でボールを握っていた。
仲間からサインが伝えらるが、しかし観客の声援と相手選手の声によって、かき消される。
「全然サインが聞こえていなくて。でも、仲間の動き出しで『ここだ!』と思って投げました」
21-14とリードしていたが、ともすれば反撃を許す状況。
「あの状況で、トライを取って。めっちゃ緊張して(ピッチに)入ったんで、良かったです」
ボールを押し込むと、雄叫びをあげた。
チームメイトも大きな笑顔で讃えた、シニアレベルでの国際試合ファーストトライ。
嬉しかった。
しかしそれをも上回る喜びが、その後に待ちうける。
「スクラムペナルティを取れた時が一番気持ち良かったです。あそこでもし、逆に相手にペナルティを取られてしまっていたら、ディフェンスがしんどかった。FWから円陣を組んで、スクラムでドミネートをしにいく『一本』という声掛けをしていました。絶対、一本。そうしたら本当に良いバインドからヒットできたので、一番気持ち良かったです。過去イチ嬉しかった」
6月29日に行われたマオリ・オールブラックスとの1戦目は、自分らしいプレーができなかった。
だがその時間があったからこそ、第2戦目、大事な場面を任されても自分らしいプレーにこだわることができたという。
「今回はすごい良かったです」
満足げな表情を浮かべた。
No.8からフッカーに転向し、3年目の夏。
「ちょっとずつ、それらしくなってきたかな」とつぶやいた。
「フッカー3年目にして、やっとスクラムの面白さが分かってきました。やっと、です」
当初は上手く組めなかったスクラム。周囲からNo.8への復帰を勧められたことも、数知れない。
ラインアウトのスローイングが上手くいかなかったことだって、一度や二度ではない。
ノットストレートに、許したスティール。苦い思い出が、これでもかと蘇る。
「やっと、少しずつ慣れてきた。ちょっとずつフィールドに余裕も生まれてきました。苦しんだ2年、結果良かったのかな、って。自分の決めたことを貫いてやったことが良かったです」
大学2年生でコンバートし、2年と少し。
大学4年生の今、代え難い自信を手にした。
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