日本大学1部残留。『プロップは最後まで残って練習する文化』の継承へ。専修大学は1部復帰ならずも「本当に幸せな4年間だった」|関東大学ラグビー入替戦

関東大学ラグビー リーグ戦1部/2部入替戦が12月15日(日)、熊谷ラグビー場で行われ、1部7位の日本大学が2部2位の専修大学を41-29で下し、勝利を収めた。

試合概要

関東大学ラグビー 入替戦

【対戦カード】
日本大学(1部7位) 41-29 専修大学(2部2位)

【日時】
2024年12月15日(日)11:30キックオフ

【場所】
熊谷スポーツ文化公園ラグビー場

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ペナルティゴールで先制したのは専修大学。

ファーストトライを奪ったのは日本大学。

両者譲らぬリーグ戦1部への想いは、後半40分までもつれた。

しかし最後に引き離したのは日本大学。

2連続トライで締め括り、1部残留を決めた。

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日本大学

『日大プライド』を掲げ、入替戦への準備を積み重ねた日本大学ラグビー部。

「入替戦が決まってからの1週間は、本当にチームも沈んだ」と窪田幸一郎監督は振り返った。

現在日本大学ラグビー部に所属する選手たちにとっては、初めての舞台。

落ち込んだ1週間。

だが「翌週からは切り替えて最高の準備をしてくれた」(窪田監督)その一旦を担ったのが、4年生たちだった。

どうやって準備をしようかと話し合えば、覚悟は決まる。

キャプテンやリーダー陣はもちろんのこと、カギを握ったのは「Bチームの4年生たち」(四宮勇斗キャプテン)だった。

「練習中に限らず生活面でも、しっかりと背中で示すことができました。そういうところで2週間、しっかりと準備できたのかなと思います」

4年生たちの愛情が、シーズンの最後に笑顔をもたらした。

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「スクラムは足で押すんじゃなくて、股関節」

控えプロップは、2年生の石川莉央選手。

報徳学園高校時代には花園準優勝を経験したが、当時はフランカー。プロップに転向したのは、今春のことだった。

「大学でもフランカー予定だったのですが、身長が177cm。上のレベルでの活躍を目指したいとなった時に、自分のサイズじゃ厳しいなと思って。プロップにチャレンジしました」

ポジションの転向は、これが初めてではなかった。

世田谷区ラグビースクール時代はウイングにロック。

FWを勧められていたが、「俺でもバックスはできるんだ!という反骨心で(笑)」バックスに挑戦させてくれた報徳学園高校へと進学した。

高校1年時にはセンターやウイングを務めたが、じきにフランカーへ転向する決心がつく。

長期リハビリ明けの高校3年生から、FWへと移った。

日本大学に進学後も、1年間はフランカーとしてプレー。

しかし2年生になると同時に、FW第1列への挑戦を決断した。

後押ししたのは、一時期フロントローにコンバートしていたという佐川奨茉・前主将の言葉。「石川ならできるんじゃない?」との心強い一言が、決心させた。

今年1年間は間違いなく、チャレンジの連続だった。

フランカーもスクラムを構成する一員ではあったが「プロップがこんだけ体を張っているんだ、という辛さは分からなかった」と笑顔をみせる。

「4年生のプロップの先輩たちに教わりながら、練習にたくさん付き合って頂きました。感謝しています」

日大に根付く『プロップは最後まで残って練習する』文化も、功を奏した。

練習後のタイヤ押し。大きくて重いタイヤを2つ重ね、低い姿勢を保ちながら、股関節に力を溜める訓練を繰り返した。

「スクラムは足で押すんじゃなくて、股関節」

プロップにしか出ぬ言葉が、自然と口をつく。

練習後の組み込みに、地道な基礎練習の繰り返し。人よりも長く、グラウンドに残って練習を繰り返した。

「器用な方ではない。人よりも練習しないと、と思っています。それが日大の伝統です」

プロップ転向1年目で、試合を決める局面で交替カードを切ってもらえるまでの選手に成長した石川選手。

窪田監督は言う。

「一番の課題はスクラム。プロップ経験者の方は皆さんおっしゃいますが、1年間でスクラムを組み込めるところまで成長するのは、かなり難しい。でも本人がきちんとウエイトアップをして、スクラムで戦えるだけの体作りをしてきた。非常に真面目な選手ですし、もともとタックルもすごく強い。特に迷いなく、我々としては終盤の大事な時間帯でも自信を持って送り出せる選手に成長しています」

公式記録の体重は90㎏だが、実際は102㎏。プロップ転向後、7kg増量した。

「先輩たちが1部に残してくれたことに感謝して、来年こそは必ず僕たちを中心に大学選手権へ行って、優勝を狙っていきたいです」

走れて、タックルに刺されて、スクラムに強いプロップに。

夢は続く。

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試合後コメント

窪田幸一郎監督

難しい試合になるだろうなという予想その通りで、日大としてはもう少しコンタクトや接点の部分でアドバンテージが取れるかなと思ったんですけども。専修大学さんもかなり鍛え上げたコンタクトで、なかなかそこでゲインができなかったというのが、スコアを取りきれなかった要因だと思います。

選手たちはそんな中でも混乱せず、自分たちが準備したラグビーを出してくれたかなと思います。

選手の皆さんには1年間、そして4年生はこれで最後になるので4年間ありがとう、と言いたいです。いろいろあったこの4年間だったと思いますが、最後までついてきてくれてありがとう、と伝えたいと思います。

四宮勇斗キャプテン

80分間をとおしていろいろとありますが、最後の試合で勝てたことは来年にも繋がります。良い形で終われたと思うので、4年生にとっても良い思い出で終われたと思う。

3年生以下にはこれを糧に、優勝目指して頑張ってほしいです。

15番・半田翔彰選手

入替戦が決まってから結構メンタルがきつかったのですが、3週間一番良い準備ができたと思っています。

最初は苦戦しましたが、勝ちきれたことは日大として来年に繋がるプレーができました。来年もしっかり頑張りたいです。

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