専修大学
先制した。
5度もポイントリーダーとなった。
だが、勝負のラスト10分で引き離された。
会場に駆け付けたのは、熱き応援団たちだった。
試合前、メインスタンドに掲げられたのは心打つメッセージ。
『どんなときも俺たちがついてるぞ!1部に行こう』
グラウンドに立つ選手たちは、善戦で応えた。
劣らぬフィジカルと緻密さで敵陣に入り込めば、日本大学から16度の反則を奪った。
前半2回、後半2回のペナルティゴールは、15番・新野翼選手が全て沈める。
得点でプレッシャーを与え続けた。
ワークレートの高い両プロップに、気迫のキックチャージをみせた11番・平野雄紀選手をはじめ、スターティングフィフティーンのうちなんと12人が4年生。
最終学年の矜持を、これでもかとプレーで示した。
それでも難しかったのは、仕留めのラストワンプレー。
好機でボールが繋がりきらず、トライに結びつかぬシーンが幾度かあった。
この日試合に出場した6人の後輩たちは、きっと、この悔しさを忘れない。
自分が讃える
ノーサイドの笛が鳴ると、3番・木原三四郎キャプテンは仲間の方を振り返った。
悔しさに責任感、そして誇りが入り混じった表情は、4年間の終わりを物語る。
「今シーズンは4年生が多く試合に出ていることもあって、4年生を中心にチームを作ってきました。これがラグビー人生、最後のゲームとなる人もいました。最後の試合をこういう結果で終えたことは不本意だと思いますが、しっかりと自分が讃えてあげようというか。『これで終わりじゃないぞ』と後輩たちにしっかり示すためでもありました。自分が落ちていたら、その次はないと思う。みんなを讃えよう、という気持ちでした」
1人ひとりと手を合わせ、主将としての務めを最後まで果たした。
兄は、現在リコーブラックラムズ東京でプレーする木原音弥選手。
『最後、がんばれよ』
試合前には、一言のメッセージが届いた。
『ありがとう。がんばります』
短く、返した。
「良い兄ちゃんだな、と思いました」
卒業後は、兄と同じフィールドでの戦いが始まる。
熱き兄弟対決が、きっといつか見られるはずだ。
試合後コメント
石倉俊二監督
本当に素晴らしい環境で試合をさせていただきありがとうございました。
昨年も2部の2位ということで、この時間に立正大学さんと試合をさせてもらい、今年こそはとチャレンジしてきたのですが、残念ながら及びませんでした。選手たちは本当に1年間一生懸命頑張ってくれて、最後の最後まで分からない試合をしてくれた。最後まで信じて、勝つと思っていましたが、残念ながら及ばなかった、というところです。
これはもう仕方がないこと。勝負ごとなので仕方がないことですので、また改めて来シーズン頑張りたいなと思います。
木原三四郎キャプテン
僕自身、1年生の頃から試合に出させて頂いて、これが4度目の入替戦。1度も勝てなくて、今シーズンこそはという気持ちで挑みましたが、日本大学さんには及ばなかった。1年間をとおしてブレイクダウンを強化してきましたが、今日は日本大学さんのプレッシャーを受けてしまってターンオーバーされる場面が多かった。そこをもう一度やり直して、来年は頑張って欲しいなと思います。
アタック面では、継続できたところもたくさんありました。1年間やってきたことが出せたかな、という思いです。
10番・鍬取武蔵選手
残念な結果になりましたが、試合をとおして専修のカラーを多くの方に見て頂けたかなと思っています。
4年間で最後の試合、悔いは残る結果になりましたが、本当に幸せな4年間だったと思います。
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