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後半、最初のスクラム。
人数が1人足りない関東は、スクラムに掛ける人数を1人減らした。8番・尾﨑遼太朗選手がフランカーの位置に入ると、左隣にいた4番・小濱康嵩選手に笑顔を向ける。大丈夫、そう語りかけるように。
後半9分、関東がゴール前でゆっくりボールを繋ぐと、前半シンビンを受けた2番・岡選手がグラウンディング。18-21と、3点差に迫る。
関東フォーティーンの魂こもったタックルで中央のノックオンを誘うなど、後半序盤は数的不利な関東のペースで試合が進んだ。
自陣22mに入られたって、インゴールに入られたって。関東の気迫が勝っていた。
一方の中央は、なかなかトライの奪えない厳しい時間帯が続く。仲間に勇気を届けるかのように、ベンチからも絶え間なく声援が飛んだ。
「ともなり、ノーペナノーペナ!」「FWから行こうぜFWから!」「固まれタイトヘッド!」
中央の記録係からは、No.8山本選手に声が掛ける。「だいじろういいぞ、だいじろう」
交代しピッチを後にした選手には、背中をさすりながら「ゆっくりゆっくり」と声を掛け、中央ラグビーを支える。
仲間の声援に後押しされたか、後半25分。中央11番・杉本崇馬選手が右隅に飛び込み、後半初トライを奪う。
杉本選手の元に満面の笑みで駆け寄ったのは、6番・川勝自然キャプテン。「ナイストライ、良く走った!」あたたかなキャプテンの手と声と。難しい1年をまとめたキャプテンのその一言は、どうしたって格好良い。
1人少ない分、寝転がってから立ち上がってゲームに戻る速さと、タックル・接点への1歩目の速さでカバーし続けたのは関東。気持ちのこもった80分を、見せる。
後半32分にもゴリゴリとボールを前に運び、17番・矢吹悠斗選手が左隅にトライを奪うと、再び3点差に迫った。
後半35分過ぎ。中央14番の足が攣る。寝転ぶ堀井拓哉選手に手を差し伸べたのは、関東の15番・阿部竜二選手だった。
ともに肌をあわせるからこそ、この試合の強度が分かるからこそ。敵味方関係なく、他者を気遣うことができる。
「出し切ろう!」「前見ろ!」両チームから最大限の声が飛び交う中迎えた、最終盤。
自陣5mの位置でマイボールスクラムを組んだ関東、もの凄い掛け声とともに体をぶつけると、自陣深い位置でボールを回す。
短く吹かれた笛は、中央のノットロールアウェイ。関東がペナルティキックを蹴ってラインアウトを狙うも、僅かにタッチに出ず。そのまま中央がボールを手にすると、落ち着いて外に蹴り出した。
後半40分55秒。吹かれたノーサイドの笛は、中央の今季2勝目を告げた。
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