ラグビーを良く知る最強の初心者軍団、いざ花園へ【川越東高校ラグビー部(埼玉代表)】

フォワードの役割

花園行きを決めてからの1ヵ月半で、一番強化したのはフォワードだという。「特にスクラム。OBや知り合いの大学コーチも来てくれて、重点的に強化しました。」

取材に伺った日も、監督はFWの練習にベタ付き。モールの細かい部分まで確認した。「いかにセットピースを安定させて、バックスにボールを供給するかがポイントです」


ラインアウトを絶対落とさないこと、試合中にアジャストさせながらチェイスしていくことが目標(白石不比等選手:写真中央)

実は、ラインアウトの中核を担っていたNo.8の古川選手が県予選準決勝で負傷。新たにラインアウトを構築しなければならなくなったが、選手も監督も前向きだ。

「今から新しいことに取り組むのではなく、過去の川越東のゲームを見返しながら『昔やってたこのラインアウト使えるよね』というものを生徒たちと共有しています。得意なラインアウトの形に戻ろうよ、と。」

まさに温故知新。古川選手も、花園にはギリギリ間に合う見込みだ。「花園に出るため、親もいろんな病院に連れて行ってくれた。だからまずは試合に出ることが目標です。タックルでチームを盛り上げたい。」

FWの要であるフッカーを任されるのは、石山玲音選手。「学校でも部活外の人とはなるべく関わらず、体調管理に務めている」という。花園で対戦するフィジカルが強みの猛者たちを見据え、「セットプレーできちんとマイボールをキープすることに注力したい。川越東のバックスは強いので、FWで相手を集めて外で走り抜けてもらうことが理想です。そのためにもセットプレーを安定させることが、花園での個人目標」と笑顔で語ってくれた。


チームを勝たせるために、見えない所でハードワークする。(鵜沢奏生選手)

埼玉県大会決勝で鮮烈なトライを決め、接点での判断力が光ったのは渡邉匠選手。けれども「自分の中で納得するプレーが出来なかった」という。「持ち味であるスピードとステップの切れを出すため、アジリティトレーニングをしています。」

プレースタイルからウイングを好むが、チーム事情でポジションは流動的。まずはチーム目標である年越しを叶え、自分の名前を全国に知ってもらえるようなプレーをしたい。


花園出場は自分の夢であり親の夢。まずはひとつ恩返しが出来たと思う(渡邉匠選手)

躍動必至のバックス陣

力強いボールキャリーが魅力の江田キャプテンの対極に控えるのは、1年生の土居選手。「元々、大声を出すことが得意ではないんです。でも、どこにスペースがあるか一番分かるのは自分のポジション。勇気をもって、大外から声を出していきたい」と話す。

小学1年生からラグビーに触れ合ってきた。だが所属したのはラグビースクールではなく、「みんなでラグビーを楽しもう」という趣旨のラグビー塾。今の土居選手の伸びやかなプレースタイルがあるのは、そのお陰かもしれない。スターティングメンバーに名を連ねる唯一の1年生として、もう一度原点回帰。楽しんで、花園でラグビーをしよう。


緊張もするが、試合に出られることが楽しい(土居泰介選手)

フルバックの加藤選手も、数少ないラグビー経験者のうちの1人。「本当は違う高校に進学する予定だったが、夏休みの最後、練習見学に来たことがきっかけで川越東に進学しました。望月先生に拾ってもらった」と話す。

プレイスキッカーを担当する加藤選手。埼玉県大会では、自分では感じない程度の力みが加わり、コンバージョンゴールの成功率が下がってしまった。「いつも通りにやっているつもりだったんですけど。花園では1本1本が大事になると思うので、成功率100%を狙いたい。」


花園は一戦一戦が勝負。毎試合1トライ取ることが目標(加藤健人選手)

初出場、初勝利、初年越し

川越東高校の理系・文系それぞれの成績トップ者を擁するラグビー部。3年生の半数は指定校推薦等で大学が決まっているが、中心メンバーにも一般入試組はたくさんいる。「花園での宿舎は個室です。学校と同じように、練習以外は自室に戻って勉強します。」

花園が決まってから1ヵ月半。これまでの練習・勉強だけではなく、多方面からの取材や声掛けに、きっと想像していた「文武両道」以上の大変さが選手たちを取り巻いているはずだ。

でも全ては、花園に出ることが叶ったからこその経験。初出場を自分たちで掴み取ったから、の試練。

前を向いて、そして思いっきり。悔いなく全国に「川越東高校のラグビー」を魅せてきてほしい。

目指すは、初出場で初勝利。そして初の年越しへ。まずは12月27日(日)10:00~花園ラグビー場第3グラウンドで、明和県央高校に挑む。

「生徒たちが一番良いラグビーをしてくれるのは、リラックスしている時。初戦は第3グラウンドなので、熊谷ラグビー場のCグラウンドのような心持ちで戦ってくれたら力を発揮してくれると思っています。」

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