3年生で卒部。早稲田大・阿部対我選手が得た『居場所』

やりたいことを、後悔ないように

今シーズンは新型コロナ対策のため、練習グラウンドがある上井草から出られない日々が続いた。電車にも乗れなかった。

そんな厳しい行動制限が強いられた中でも、クリスマスに同期とプレゼント交換をしたことが2020年下半期一番楽しかったこと、と無邪気に語る阿部選手。「Instagramに投稿したら、友人から『お前の2020年しょぼいな』と言われました(笑)確かにみんなめっちゃ楽しそうな写真ばかりでした(笑)」

キラキラした大学生活を送れなくたって、イルミネーション輝く場所でクリスマスを過ごせなくたって。ワセダでラグビーができることが、幸せだ。

「アカクロを着ている時間は、夢のような時間でした。応援してくれた周りの人たちには、本当に感謝しています。」

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実はご両親には当初、2年次での新人練参加を反対されたという。それなりに認められていたアメフト部を辞めてまで、入れるか分からないラグビー部に挑戦する。もしラグビー部に入れなかったとしても、アメフト部には戻れない。大きなリスクを伴う決断だったからだ。

だけど自身の熱意を伝えたら、応援してくれるようになった。ラグビー外で出来た大学1年次の友人たちも、傍で支えてくれた。たくさんの仲間が試合に駆け付けてくれたという。「ラグビー外での繋がりが、ラグビー部での3年間を支えてくれたんだと実感しています。」


毎年吉永小百合さんから夏合宿時に届く「牛」は、本当に美味しかったです。今年は合宿が出来なかったので、小分けで食べられるようにとトウモロコシを送ってくださいました。写真は、同期で同じポジションの小林賢太選手と(提供:阿部対我選手)

一番想い出に残っている試合を問うと、迷いなく「2019年シーズンの大学選手権優勝」と答えてくれた。「小学2年生からラグビーをやってきても、日本一や日本代表とは遠い場所にいた。僕の唯一の日本一です。」

これからのワセダラグビーに願うのは、ただ一つ。『格好良い早稲田ラグビー部であり続けて欲しい』ということだ。

「格好良ければ、みんな行きたくなるじゃないですか。簡単に入れる大学ではないですし、人の原動力になれるくらいの格好良さをずっと持っていて欲しいです。僕自身、小学生の時に『格好良いワセダ』に憧れたことが、すべての原動力です。」

同期たちには、ラストシーズン後悔ないよう戦ってほしいと話す。それ以降の後輩たち、またこれからワセダラグビーにチャレンジしようとしている人たちには、自分がやりたいことをやって欲しい。「仮にラグビー部に入ってアカクロを着れずに終わったとしても、『やりきった』って思えるくらい、ガムシャラに部内で頑張って欲しいと願っています。」


ラストシーズンの選手が並ぶ。右から丸尾主将、古賀由教選手、阿部選手

取材を終えて

一番の想い出を聞くと、「新人練を耐え抜いた時。(同級生で同じく2年入部の)永瀬功太郎と涙を流して抱き合った」と話してくれた。

アカクロの始まりが、3年間での一番の想い出だ。

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そう、ワセダラグビーとは、目指す者にとって特別なものである。

先日、千葉洋介選手が執筆したコラムがNumberに掲載された。大学4年生ながら、早稲田ラグビー部に入部。現在ラグビー部1年生で、大学を留年をしあと1年、ラグビーを続けるそうだ。

3年生の淺沼黎選手は、青山学院大学を経由して早稲田ラグビー部にたどり着いた。

それぞれが、それぞれの想いを抱いて早稲田大学ラグビー蹴球部の門を叩く。阿部選手も、1年の空白期間を経て早稲田ラグビー部に居場所を見つけることができた。

「河瀬諒介や小林賢太などスターだらけの同期の中で、『阿部くんが一番好きです』って言ってくれる奇特な方もいました。応援してくれる方がいるのは本当にモチベーションになっていました、ファンの方々には感謝しかないです。ネット上では良いことも悪いことも書かれましたが、それでも名前をあげてくれるだけで嬉しかったです。」

卒業後は、広告業界への入社が決まっている。これからは少し離れた所からラグビーを見守るつもりだ。

「来シーズンは同期がまだ残っているので、一緒にグラウンドで戦っているような気持ちで応援します。」

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